2008年1月16日水曜日

北朝鮮からの二度の煮え湯を政府に報告

北朝鮮のテロ支援国家指定を再確認するように報告があった。
米国議会調査局が、北朝鮮のテロ支援国家指定を再確認するように政府に報告
したようだ。
米政府は、過去、北朝鮮の核問題で、民主党ビル・クリントン(ジミ・カーター)
が煮え湯を飲まされたことがあるが、共和党ジョージ・ブッシュも現在、同様に
なりつつある。
北朝鮮を知らないブッシュが同じ道をたどるのは目に見えていたが、議会も同様
と言うのは共和党自体がそういうレベルなのか。
ペリーノもブッシュレベルだったので、党にも期待はできない。
共和党大統領立候補者のジュリアーノもロムニーも同じレベルか。

米国議会調査局が「北朝鮮=テロリズム・リストからの解除?」と言う報告書
で政府に報告しても、これでは猫に小判、馬に念仏状態だと思う。


---第66回 北朝鮮はやはり「テロ支援国家」――米議会調査局が報告---
国際問題評論家 古森 義久氏
2008年1月15日
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/i/66/

 北朝鮮はやはり「テロ支援国家」である――こんな判定が米国議会の調査研究機関によって改めて下された。2007年12月のことである。これでブッシュ政権も北朝鮮の「テロ支援国家」指定解除が、ますます実行しにくくなったといえよう。2008年の日本にとっての北朝鮮問題の行方にも、一つの有力なファクターとなる判定であろう。
 北朝鮮による日本人拉致事件の解決は2008年も国民的な悲願として論議の対象となることは間違いない。この拉致問題と密接かつ複雑にからみあっているのが北朝鮮の核兵器開発問題である。その核問題に外部から対処する最大の当事者は一貫して米国だといえる。米国は拉致問題解決にも大きなカギを握る。だから米国の北朝鮮への姿勢は日本の立場をも根底から左右する。
 その米国の姿勢はこのところ北朝鮮への軟化や融和のようだったが、そんなアプローチにまた新たな抑制が生じてきた。その抑制の原因の一つこそが、北朝鮮はやはり「テロ支援国家」だという認定だといえよう。
 米国と北朝鮮との相互の接近は2007年後半の東アジアを揺さぶる大きな動きとして、日本にも錯綜(さくそう)した波紋を投げ続けた。なかでも米国政府が「テロ支援国家」指定のリストから北朝鮮を核問題での協力と引き換えに外そうとする動きは、日本側に深刻な懸念を生んでいた。その解除は北朝鮮への米国や国際機関からの経済支援を可能にし、日本の北朝鮮への制裁措置を骨抜きにしてしまうからだ。
 平沼赳夫衆議院議員を団長とする合同訪米団の昨年11月のワシントン訪問も、米側の政府や議会に日本のその懸念を伝え、北朝鮮の「テロ支援国家」指定解除への強い反対を表明したのだった(本コラム 第62回:拉致問題、米への直接アピールの成果)。
 2007年11月というその時点では、ブッシュ政権が同年末までには、その指定解除の措置を具体的にとるという展望が語られていた。日本側の米国通とされる向きの間でも、「ブッシュ政権は北朝鮮の指定解除をもう決定したから、日本側が抗議しても無駄だ」と断言さえされていた。
 ところが2007年が幕を閉じ、2008年も2週間が過ぎた現在、ブッシュ政権が北朝鮮を「テロ支援国家」のリストから排するという気配は、まだうかがわれない。それどころか北朝鮮は「テロ支援国家」としての特徴をますます強めてきた、という診断が下されているのだ。こうした事態はブッシュ政権内部でも北朝鮮との融和をとにかく急ぐ国務省をいらだたせ、そんな路線がそもそも不適切ではなかったのか、という懐疑を生んでいる。

約束を果たさない北朝鮮
 米国側は北朝鮮が核問題できちんと合意の実行を果たしてこそ、「テロ支援国家」の指定解除に応じるという構えだった。だが北朝鮮は合意を果たさないことが2007年末の時点では明白となった。日本時間の12月31日、国務省のケーシー副報道官は次のように言明した。
 「北朝鮮が『すべての核計画の申告をする』という約束を果たしていないことは残念だ。今後、米国政府は北朝鮮にすべての核兵器と核兵器開発計画、核拡散活動を含めた完全かつ正確な申告と、合意した核施設の無能力化の完了を促していく」
 要するに北朝鮮は核に関する合意をさまざまな点で実行していない、と断じ、その実行をこれからも迫っていく、というのである。だから現時点では、「合意の実行」への見返りとしての「テロ支援国家」指定解除はできない、というのである。こうした事態の展開は、「指定解除はもう決定ずみ」という解釈とは、あまりにも異なっている。
 日本側でこうした解釈が誤っていたことは、もはや明白だといえる。指定解除は今後なお起きる可能性があるにせよ、「既に決定」などという断定には、なんの根拠もないことが判明してしまった、といえそうだ。だから平沼訪米団の効用も、いまではきわめて高かったといえることにもなってくる。同訪米団は訪問の任務を「指定解除への反対」という一点にしぼり、激しく、強く、日本の拉致問題の重要性を訴えたからだった。米国の政府や議会の内部では、日本の議員たちの例のない強硬な抗議は珍しいほどの重みをもって受け止められたようなのだ。
 さてこうした背景のなかで、北朝鮮がなおテロ支援国家と呼ばれざるを得ない行動をとっていることを新たに指摘したのは、米国議会調査局の調査報告だった。「北朝鮮=テロリズム・リストからの解除?」と題する報告書である。作成者は議会調査局で長年、朝鮮半島情勢を追っている専門官のラリー・ニクシュ氏だった。議会調査局というのは米国連邦議会の機関で、上下両院の議員の法案審議のために調査や研究を果たすことを目的とする。これら報告書も議員たちの審議資料である。だからそれなりの重みがあるということだ。

今も国際テロ組織を“支援”している
 同報告書は19ページから成り、「テロ支援国家」の指定や解除の仕組みを説明したうえで、北朝鮮がそもそもなぜ指定されてきたかを報告したうえで、最新の重要な情報として以下のことを記していた。
1. 北朝鮮はイランを仲介としてレバノンの国際テロ組織「ヒズボラ」に武器を供与して、要員を訓練し、特に2000年以降、レバノンに専門家集団を派遣して、ヒズボラの戦闘要員に地下軍事施設の開発方法を指導してきた。その結果、2006年のイスラエルとヒズボラの軍事衝突ではヒズボラの戦闘能力が強化された。なおヒズボラは米国政府からも国際テロ組織として認定されている。
2. 北朝鮮のミサイル類がイラン領内で組み立てられ、シリア経由でレバノン領内のヒズボラに供与され、2006年の上記のイスラエルとの戦闘で使用された。
3. 北朝鮮は2006年から2007年にかけて、スリランカのテロ組織「タミル・イーラム解放のトラ」(LTTE)に機関銃、対戦車ロケット砲などを数回にわたり、ひそかに輸出した。LTTEも米国政府から国際テロ組織に認定された集団である。

 同報告書は結論として「北朝鮮のテロ組織支援のこうした情報を無視する形でのテロ支援国家指定からの解除はそもそもの指定措置の信頼性を奪う」と警告していた。つまり「北朝鮮の指定は解除すべきではない」という総括である。
 議会調査局ではこの種の情報は公開の学術発表やマスコミ報道から引用する形が多いが、米国政府機関の情報とも照らし合わせて判断することが普通である。たとえ単なるマスコミの報道の引用であるかのようにみえても、実際には米国政府の情報機関の情報を独自に参照にしている場合がほとんどだといえる。でなければ、米国議員の政策や法案の審議用に提示するはずがない。そういう機関の報告が今回のレポートなのである。
 この報告書は、さらに現在のブッシュ政権が「北朝鮮は1987年以来、テロを実行していない」という見解を新たに打ち出して、北朝鮮を「テロ支援国家」の指定から解除しようとしている現状をも伝えていた。しかし、今現在も実際には北朝鮮はテロ組織への武器や技術の供与を続けており、まさに「テロ支援」に匹敵する、と指摘するわけである。

日本との関係にも言及する報告書
 同報告書は米国政府がそもそも北朝鮮をなぜ「テロ支援国家」に指定したかの経緯を説明し、その指定の解除のためには「日本人の拉致事件の解決あるいは進展」が前提条件の一つになっていたことをも詳述していた。だが2007年に入ってから北朝鮮の核兵器開発を防ぐための6カ国協議や米朝協議の結果、米国政府は国務省主導で日本人拉致に関する前提条件を引っ込め、日本人拉致を切り離すようになったのだという。
 米国政府自身が明確に「前提条件」と宣言していた日本人拉致の解決をいまや北朝鮮の「テロ支援国家」指定とは無関係だとする立場へと変転したことになる。北朝鮮の「核無能力化」と引き換え、ということである。しかし皮肉なことに、北朝鮮はその「核無能力化」や同時に公約した「核計画の全面申告」を果たしてはいない。こうした状況を同報告書は詳しく述べていた。
 議会調査局のこの「北朝鮮=テロリズム・リストからの解除?」報告書はさらに日本にとって注視すべき点を強調していた。以下の記述である。
 「もし米国政府が日本人拉致の解決や解決への前進を無視して、北朝鮮を『テロ支援国家』リストから外した場合、日本政府はその解除の動きに既に反発しているが、いざ解除となれば、さらに反発を強め、日米関係を傷つけることになる」
 日本の反発は米国政府として考慮すべき重要な点だという指摘だった。この点をブッシュ政権の国務省がどの程度まで重視するかが注目される。
 ただし、この報告書の最大要素は、あくまで北朝鮮がここ数年来、そして現在にいたるまで「ヒズボラ」と「タミル・イーラム解放のトラ」という米国政府自身がテロ組織と認定した相手に武器類を供与してきた、という情報の提示である。
 米国政府はそれでもなお北朝鮮を「テロ支援国家」の指定から解除するという権限は有しているわけだが、この報告書の指摘はその解除へのハードルをまた一段と高くした、とみることはできる。つまり米国の北朝鮮への融和にまた一つ、抑制のブレーキがかけられた、ということである。


---北テロ国家指定解除…政府に警告 米議会調査局---
産経新聞 2007.12.13 22:40
http://sankei.jp.msn.com/world/america/071213/amr0712132240009-n1.htm

 【ワシントン=古森義久】米国議会調査局は12日、「北朝鮮=テロリズム・リストからの解除?」と題する報告書を発表し、米国政府が国際テロ組織と認定するレバノンの「ヒズボラ」とスリランカの「タミル・イーラム解放のトラ」(LTTE)に北朝鮮が最近、ミサイルなどの武器を供与したという情報を強調し、米政府が北朝鮮のテロ支援国家指定を解除することは同指定の信頼性や対日関係を傷つけるとの見解を明らかにした。
 米国議会上下両院の議員の法案審議資料として作成された同報告書は、テロ支援国家指定の解除には北朝鮮による日本人拉致事件の解決あるいは進展が前提条件の一つとなってきた経緯を詳述する一方、今年になって米国務省が北朝鮮の「核無能力化」と引き換えに、日本人拉致事件をも切り離して指定を解除する姿勢をとり始めたことを指摘し、もし解除となる場合、「日本政府がすでに反発しており、日米関係を傷つける」との見解を示した。
 同報告書はさらに最近の重要な情報として、(1)北朝鮮はイランを仲介としてヒズボラに武器を供与して要員を訓練し、特に2000年以降、レバノンに専門家を送って、ヒズボラ要員を地下軍事施設の開発で指導してきた結果、昨年のイスラエルとヒズボラの軍事衝突でヒズボラの戦闘能力を高めた(2)北朝鮮のミサイル類がイランで組み立てられシリア経由でレバノンのヒズボラに供され、昨年のイスラエルとの戦闘で使用された(3)北朝鮮は昨年から今年にかけLTTEに機関銃、対戦車ロケット砲などを数回にわたり密輸出した-と述べ、こうした情報を無視する形での北朝鮮のテロ支援国家指定解除は、そもそもの指定措置の信頼性を奪うと警告した。


---North Korea: Terrorism List Removal?---
Updated December 20, 2007
http://www.fas.org/sgp/crs/row/RL30613.pdf

North Korea: Terrorism List Removal?
Summary
The issue of North Korea’s inclusion on the U.S. list of terrorism-supporting countries has arisen twice in recent U.S.-North Korean diplomacy. In 2000, North Korea demanded that the Clinton Administration remove North Korea from the terrorism-support list before North Korea would send a high level envoy to Washington and accept the Clinton Administration’s proposal to begin negotiations
with the United States over the North Korean missile program. In 2003, multilateral negotiations involving six governments began over North Korea’s nuclear programs in the wake of North Korea’s actions to terminate its obligations under the Nuclear Non-Proliferation Treaty and the 1994 U.S.-North Korean Agreed Framework. In the six party talks, North Korea demanded that in return for a North Korean “freeze”of its plutonium nuclear program, the United States agree to a number of U.S. concessions, including removing North Korea from the U.S. terrorism-support list.
In late 2006 and early 2007, the Bush Administration reportedly offered North Korea removal from the U.S. terrorism list if North Korea agreed to end its nuclear programs. U.S. and North Korean diplomats negotiated much of the Six Party Nuclear Agreement, which was signed on February 13, 2007. That agreement specified that the United States and North Korea would begin to negotiate a process of removal of North Korea from the terrorism list. In August-September 2007,Assistant Secretary of State Christopher Hill apparently made promises to North Korea’s chief negotiator to remove North Korea as part of the process to implement Phase Two of the February 2007 nuclear agreement. They set a deadline of December 31, 2007, for completion of Phase II. Phase II requires North Korea to allow the “disablement” of its plutonium facilities at Yongbyon and to issue a declaration of its nuclear programs. The Bush Administration increasingly took the position that the issue of North Korea’s kidnapping of Japanese citizens was not linked to removing North Korea from the terrorism list, from the standpoint of U.S.law or policy. The Japanese government objected to this position. The State Department continued to declare that North Korea had not committed a terrorist act since 1987, but contrary reports from reputable sources described recent North Korean programs to provide arms and training to Hezbollah in Lebanon and the Tamil Tigers in Sri Lanka, two groups on the U.S. list of international terrorist organizations.
If the Administration removes North Korea from the terrorism list, it is required under law to notify Congress 45 days prior to removal. For Congress to prevent removal, it would have to pass legislation (not resolutions) that would be subject to a presidential veto. The Administration has stated that it will adhere to the requirement of providing Congress with a 45-day notice.


---北朝鮮核問題---
wikipedia 最終更新 2007年12月22日 (土) 15:35
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E6%A0%B8%E5%95%8F%E9%A1%8C

 北朝鮮核問題(きたちょうせん かくもんだい)とは、北朝鮮の核に関するアメリカ・日本・韓国を中心とした国々並びに国連安全保障理事会、国際原子力機関 (IAEA) 、朝鮮半島エネルギー開発機構 (KEDO) と北朝鮮との間の問題である。
 以前は北朝鮮核開発疑惑(きたちょうせん かくかいはつ ぎわく)とも呼ばれた。北朝鮮が大量破壊兵器の一つである核兵器を秘密裏に製造しているのではないかとの懸念があり、各国が北朝鮮の核の平和利用を含めた核開発放棄などをすべく交渉を続けてきた。現在では北朝鮮が核保有宣言をしたため、この呼び方は使われない。
 2006年、北朝鮮は核兵器の保有を公言し、10月9日に地下核実験を実施したとみられる。10月15日、国連では全会一致で国際連合安全保障理事会決議1718を採択し、国連憲章第7章第41条に基づく経済制裁実施が発動された。
 これにより、東アジアの情勢は軍事的にもドラスティックに流動化しうる局面へと突入したと見られている。

概略
北朝鮮の核開発に関しては事実上、完了していると見られている。これまで起爆装置の製造には欠かせない高爆実験を140回程度行ったとされる。
 各国によって見方はまちまちだが、2006年の核実験実施もあり、一般的には北朝鮮は原子爆弾を保有したとされている。原子爆弾を小型化する技術についても見解は分かれるが、一般的には北朝鮮は140回程度の高爆実験により、原子爆弾の小型化の基準である1000kgの壁を突破しているとみられ、ミサイルに搭載できる初歩的な原爆弾頭を作れる、といわれている。一説にはミサイル弾頭用のウラン爆縮原爆の設計図がパキスタンから北朝鮮に入っているとするものもある。広島型原爆のリトルボーイや長崎型原爆のファットマンの大きさから北朝鮮の原爆はミサイルに載らないとする説もあるが、当時の原爆は技術的不安が多く、計算よりもかなり多い爆薬をつかっており、構造も頑丈にしているため、重いものとなっており、情報も多く、技術的背景の違う現在の北朝鮮の核と比較する事は適切ではない。
 北朝鮮が、米朝枠組み合意以前に黒鉛減速炉から核爆弾1~2個分のプルトニウムを取り出したことは、ほぼ間違いないとされている。また2003年から行ったと見られる8000本の使用済み核燃料棒から核爆弾4個から最大13個分のプルトニウムを取り出したと見られる。2005年の春にも黒鉛減速炉から使用済み核燃料棒を取り出し、さらに1個分取り出した可能性もある。また、パキスタンからウラン濃縮技術の購入を試み、核爆弾1個分程度のウランを入手した可能性もある。
 北朝鮮の核兵器に関しては、朝鮮半島の情勢から極めて大きな不安材料になっており、周辺諸国はその動向を注目している。

核開発問題と軽水炉供与
六ヵ国枠組み合意
 北朝鮮が保有する原子力発電所の黒鉛減速炉は、核弾頭の原料となる純度の高いプルトニウムが生成されるため、長距離弾道弾への核搭載を危惧した諸国が、米国政府を中心として、北朝鮮政府に対し核開発の放棄を促した。交渉は難航し、1994年には米国は北朝鮮の爆撃を検討し、ソウルでは市民の大規模な避難が行われるなど朝鮮半島での戦争の危機が高まった。核開発に関する交渉は緊迫し、ジミー・カーター元大統領が1994年6月に訪朝し金日成国家主席と交渉にあたった。北朝鮮政府は「黒鉛減速炉はあくまで発電用」としたため、純度の高いプルトニウムが生成されにくい発電用原子炉を提供するということで、当事者各国(米国、日本、韓国、ロシア、中国)と北朝鮮政府の間で「枠組み合意」が成立。これにより北朝鮮が黒鉛減速炉の発電をストップし、その代わり建設費の30%を日本、70%を韓国の負担とし、代替軽水炉の発電所を北朝鮮に無償で建設し、完成までの間の火力発電用の重油を朝鮮半島エネルギー開発機構 (KEDO) を通じ米国が提供する事となった。北朝鮮にとっては、外交での核カードによって、発電所と重油を外国の負担で入手することができ、大きな成果をあげたことになるが、このような米国クリントン政権の外交姿勢は、北朝鮮に甘すぎる対応だったとして、後に米国内でも批判を受けることになる。この後、1994年7月に突然、金日成が死去し、金正日体制のもと、北朝鮮は食糧危機が深刻になるなど混乱を深めたとも言われる。

代替軽水炉工事開始の遅れ
 代替軽水炉の建設は最初の1基を2003年までに稼動するとの合意であった。しかし、KEDOが建設する軽水炉の型が韓国型と言う事に対し、北朝鮮が猛反発を行う。また北朝鮮政府は労働者に対する賃金の上乗せを要求した。この要求により、日本や韓国は予算編成の見直しを迫られ、また、原子炉の形式の調整に手間取り、工期のズレ、つまり1基目の完成時期のズレが4年にも及ぶ事となった。これに対し、米国政府は4年間の重油供給の延長を行う事となっていた。

IAEAの査察拒否とKEDO
代替軽水炉への査察保留
 代替炉の軽水炉に対し、IAEAでは軽水炉組み立て前からの部品の査察を行うことが義務つけられている。これに要する期間は稼動前の4年間であり、実質は軽水炉本体の建設開始からの査察になる。枠組み合意ですでにこの査察が調印されていたにもかかわらず、北朝鮮政府はこの査察の開始に対し保留を続けた。つまり、IAEAの査察が行えない状態に陥り、原子炉の設置そのものの続行が不可能となったわけである。米国政府はこの態度に反発し、長期化するようであれば原油の供給停止もやむなしと決めた。

破られた枠組み合意
 施設の建設途中、2002年10月4日、北朝鮮を訪問したケリー米大統領特使に対し、「核爆弾(ウラン型核爆弾の事)の保有を行うためのウラン濃縮計画(ウラン高濃縮計画)を持っている」との発言を行ったため、米国並びにKEDOはこれに反発、高濃縮ウラン計画の撤廃が具体的に示されるまでの間と言う期間を設けた上で、代替炉の建設並びに重油の提供をストップし現在に至っている。先の枠組み合意では核兵器の開発放棄を合意しており、この発言は枠組み合意を北朝鮮自ら破った形となったわけである。

保障措置協定違反と再燃する核所有疑惑
 北朝鮮はこの処置に対し、IAEA査察チームを国外退去させた上、IAEAの監視カメラも全て目隠しした上で黒鉛減速炉での発電を再開させ、IAEAを脱退した。 これにより、IAEA理事会が北朝鮮の保障措置協定違反を認定し、国連安全保障理事会に報告。国連安全保障理事会、IAEAなどは核兵器の開発計画を放棄するよう求めたが聞き入れられず、2003年には北朝鮮政府は8000本あまりの使用済み核燃料の再処理を完了したと発表した。再処理を行う際には使用済み核燃料から廃棄物として、必ずプルトニウムを分離する必要があるため、プルトニウムの抽出疑惑を北朝鮮は事実上、公にした。

核兵器保有宣言と六ヶ国協議の継続
 2003年11月に、KEDO理事会は軽水炉の建設を2004年10月まで停止することを決めた。しかし、当事者である北朝鮮と核開発を懸念した5カ国(中国、米国、日本、ロシア、韓国)の間で、現在「北朝鮮の核開発に関しての査察」について協議している。(6カ国協議)
 しかし2005年2月10日に北朝鮮政府は6カ国協議の中止と、核拡散防止条約 (NPT) からの脱退、さらに核兵器保有宣言を行った。北朝鮮一流の瀬戸際外交との見方も強いが、これによって北朝鮮核問題が新たな局面を迎えたとも言える。その後北朝鮮への五ヶ国による協議復活への説得が続けられ協議は再開したが、今のところ核開発計画を断念する気配は見せていない。日本は核開発放棄以外、北朝鮮との重要問題である日本人拉致問題も6 カ国協議に加えているが、中・韓・朝・露は拉致問題を持ちこむことに対して後ろ向きの姿勢を見せている。しかし、日米は核問題と人権問題(日本人拉致問題含)で連携することを確認した。また米政府、デトラニ・6カ国協議担当特使は、拉致問題の解決が北朝鮮の国際テロ支援国家指定を解除する条件と述べた。第 4回協議で採択した共同声明履行のため、日米は人権問題の作業部会の設置を検討している。
 KEDOは2005年11月22日、ニューヨークで理事会を開き、軽水炉建設事業を廃止することで合意した。これを受け、北朝鮮は朝鮮中央通信を通じ同年12月20日、「ブッシュ政権はわが国に対する軽水炉提供を放棄した」と米国を非難、「わが国は5万キロワットと20万キロワットの黒鉛減速炉と関連施設により、独自の原子力工業を積極的に発展させる」とし、また、軽水炉についても「いずれ独自の開発で建設する」と発表して、黒鉛減速炉建設の再開と、軽水炉建設によって、自衛力強化を図る意向を表明した。米国務省スポークスマン、ジャスティン・ヒギンズ (Justin Higgins) は、核開発事業の廃止と核兵器開発の断念を要求している。

周辺国への核の脅威
 現在、北朝鮮が保有しているとされる中距離弾道ミサイルは数種類あり、射程は1000km~4000kmほどあるといわれ日本全土が射程内に入る。また、射程6700km以上とも言われるミサイル(テポドン2)も開発中であるとされ、もしこれらのミサイルに核弾頭を 搭載すれば周辺諸国はもとより北アメリカ大陸の米国の州、アラスカまでミサイルでの核攻撃が可能となる。また、北朝鮮は外貨獲得の為、ミサイル関連技術を他国へ輸出しており、大量破壊兵器の拡散に繋がらないかと各国から懸念されている。

* 1.ミサイル装着可能な小型核弾頭
* 北朝鮮の核兵器小型化技術水準については下記のように非常に見解が分かれている。しかしいずれにせよ、日本に届くノドン弾道弾100-200基に化学兵器弾頭をつけて発射する能力は既に持っていると看做されている。
o 1)核実験自体失敗しており、航空用核爆弾すらもっていないと言う見解
+ 根拠としては2006年の核実験が0.8キロトンだったので過早爆発(原子爆弾参照)だったとの見方
o 2)航空用核爆弾を10個前後持っているだろうと言う見解
+ 根拠としては1994年にCIAが「CIAは北朝鮮が大型で原始的な核爆弾を持っていると51%信じている」と言う報告を行ったことと、2006年核実験。
o 3)日本に届くノドン弾道弾に搭載可能な小型核弾頭を3つ以下もっており、今現在東京を核攻撃できる能力がある他、航空用核爆弾数個持っていると言う観測
+ 北朝鮮が1994年時点でCIAの言う様に大型核爆弾を持っていたなら12年後2006年には小型核弾頭を開発完了していて当然である。1994 年に作動試験の済んでいない核爆弾1-2個持っていて、パキスタンの核実験の一部が大型核兵器の作動信頼性を確かめる北朝鮮の委託実験で、2006年にミサイルにつめる核を実験した可能性もある。
+ また、過去はプルトニュウム5-7kgないと核爆弾は作れないと言われていたが、最近1.5-3kgでも爆発力の小さな核爆弾(ミニニューク)を作れるという事が一般に知られるようになった。(核兵器専門家トーマス・コクラン博士らが、最新の技術を検討、核爆弾製造可能量を計算し直した結果、プルトニウム1キロで核爆弾製造が可能。多くの国が持つ中程度の技術でも、1.5キロで核爆弾が製造できることが明らかになったとのこと)実際広島は確実な作動を目指して核物質を多めに遣っているので爆発力16キロトン前後だったが、北朝鮮が中国に事前通知した2006年核実験の設計計画爆発力は僅か4キロトンであったので、北朝鮮は核物質を限界まで節約して一足飛びに高度なミニニュークに挑んだ可能性がある。少なくとも0.8キロトンとの実験結果だけ聞いて侮るのは早計。設計4キロトンで実験結果が0.8キロトンなら過早爆発が起き核分裂が不完全だった可能性が高いとはいえ、初回にしては部分的成功といえ、データー収集した以上、次回は既に相当な作動信頼性のある小型核兵器を作れる可能性が高い。
+ 米国の調査機関ISISは「北朝鮮は3発のノドンミサイル用核弾頭と数個の核爆弾を持っている可能性が高い」(=東京核攻撃も可能かもしれないと言うこと)と発表している
+ 北朝鮮は(東京に届くノドンミサイルに搭載できる)小型核弾頭3発持っている可能性があるとのISISの報告書[1]

* 2.核物質の現有量と建設中のプルトニュウム量産用大型原子炉
o 現在までに実験用5メガワット黒鉛炉で作った核物質はプルトニュウム50kg(10-20個分)で衆目が一致している。この古い5メガワット黒鉛炉は無力化対象だが、建設が途中まで進んでいる50メガワット炉と200メガワット炉は2007年合意では何故か『無力化対象外』にされてしまった上、此れが完成すれば、年間55個、4-5年で220個のペースで核兵器を量産できるとの事である。
o 建設中の5万キロワット・20万キロワット大型炉の核兵器量産能力、核爆弾年産55個についての原水禁の解説記事[2]
o 肝心の大型原子炉が結局解体どころか、無力化もされなかったことで2007年合意は「話し合い解決したことにして問題先送りしたいブッシュ政権」と「大型原子炉空爆破壊も自主的解体も免れたい金正日」の仕組んだ茶番劇との見方もある。

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