2008年2月20日水曜日

海自 高性能軍艦使いこなせず

海自護衛艦と漁船が衝突した。
海自イージス護衛艦「あたご」が漁船「清徳丸」と衝突した。
漁船員2名は行方不明のようだ。

ミサイル撃墜実験は米軍装備の指示により、ボタンを押すだけだったから
よかったけど、交通量の多い海を航海することすらできず、周囲に迷惑をかけ、
行方不明者2名も出した。あたご乗務員は、高性能軍艦を所有しても基本的な
航海技術すら持たないことが証明された。
海保が軍艦に家宅捜索と言う話はあまり聞かない。

海自は不祥事続き。
・イージス艦情報流出事件が日米の安全保障関係に影響。
・インド洋での給油量取違え、航海日誌の誤廃棄。
・横須賀基地に停泊中の護衛艦「しらね」で火災。

海自は、在日米海軍の不祥事のガス抜きのために、あたごが事故を起こした
ようにも見える。

フジサンケイグループが木津徹は信用できないことを証明した。
「イージス艦のレーダー画面では小型漁船と海面のちらつきとは区別がつきに
くく、発見しにくいはず。」

この人、艦船オタクで、時代遅れなのか、見たこともないことをいかにも見て
きたかのようなことを言う。
実績がある人は声をそろえて「見えないことはない」と否定している。



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JOCX 20080219 Aegis Collision Analysis


---【主張】イージス艦衝突 海自は緊張感欠いている---
2008.2.20 03:10
http://sankei.jp.msn.com/affairs/disaster/080220/dst0802200311002-n1.htm

 あってはならない重大事故が起きた。千葉県・野島崎沖で、海上自衛隊のイージス護衛艦「あたご」が漁船「清徳丸」と衝突、漁船員2人が行方不明になった。
 いずれの過失かは不明だが、国民の生命、財産を守るべき海自が事故を起こしたことは言語道断で、責任はきわめて大きい。海上保安庁はイージス艦の舩渡健艦長らから業務上過失往来危険容疑で事情を聴くが、厳正な捜査と徹底解明を求めたい。
 イージス艦では当時、艦橋に約10人の乗員がおり、水上レーダーも稼働していたようだ。吉川栄治・海上幕僚長によると、衝突前に漁船に気付き、回避動作を取ったというが、なぜもっと早く対処できなかったのか。
 イージス艦側が緊張感を欠いていたと断じることはできないが、海自にそうした批判を受けざるを得ない事件、事故が続発しているのも事実だ。
 昨年12月には海自のイージス艦情報流出事件で、海自艦艇開発隊に属していた3佐が日米相互防衛援助協定に伴う秘密保護法違反容疑で逮捕された。この事件での事情聴取は延べ約800人に及んだ。浮き彫りになったのは、米国が提供したイージス情報が重要機密であることへの意識の希薄さであり、情報管理のずさんさだった。
 同時期には、横須賀基地に停泊中の護衛艦「しらね」で射撃管制を担う最重要区画の戦闘指揮所から出火し、指揮所が全焼している。海幕の内部調査によると、隊員が缶入り飲料などを冷やしたり温めたりする「保冷温庫」を無許可で持ち込み、これが異常過熱した可能性が高いという。
 いうまでもないが、国防を担う自衛官は高いモラルを求められる。武器を携行し、場合によっては実力行使する集団だからだ。モラル低下は由々しき事態であり、内部崩壊をもたらしかねない。同時に生命を犠牲にして任務を果たしてきた自衛官を国家がきちんと遇してきたかという問題もある。
 今回の衝突事故では自衛隊の危機管理の問題点も浮かび上がった。石破茂防衛相への連絡は発生から1時間半後だった。現場から上部組織、幕僚監部、内局などとの調整に時間がかかり過ぎている。これでは緊急時に迅速な対応はできない。第一報を速やかにトップに連絡できる改革も急務だ。


---イージス艦事故 漁船との衝突も回避できぬとは(2月20日付・読売社説)---
2008年2月20日02時36分 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20080219-OYT1T00764.htm

 最新鋭のイージス艦でも防げない事故だったのか。徹底した原因の究明が必要だ。
 海上自衛隊のイージス艦「あたご」が千葉県房総半島沖で漁船と衝突し、漁船の船員2人が行方不明になった。横須賀海上保安部は業務上過失往来危険容疑で「あたご」艦内を捜索した。
 「あたご」は、米ハワイ沖でのミサイル発射試験を終え、事故の5時間後に横須賀港に入港する予定だった。日本近海に来れば、漁船などの存在を警戒するのは、航海上の常識である。
 イージス艦は、同時に100個以上のミサイルや航空機を追尾する世界最高水準のレーダーを搭載している。「あたご」は昨年3月に就役したばかりで、海自のイージス艦5隻の中で最も新しい。建造費は約1400億円にもなる。
 事故当時、艦橋上には、見張りを含め、10人前後の隊員がいた。現場海域の波は平穏で、視界も良好だった。それでも、漁船の発見が遅れたのはなぜか。
 どんな高性能の艦船でも、乗員が適切に操作し、安全に十分留意しなければ、事故は防げない。30人が死亡した海自潜水艦と遊漁船の事故から20年が経過している。隊員に気の緩みはなかったか。
 漁船との衝突さえ回避できないようでは、日本の安全保障は心もとない。「万が一、自爆テロの船だったらどうするんだ」との渡辺金融相の指摘ももっともだ。海自の海上警備行動や船舶検査などは大丈夫か、と思う人もいるだろう。
 「あたご」の艦首右側には、衝突によるものと見られる傷跡が確認されている。海上衝突予防法は、船がすれ違う場合、相手を右側方向に見る船が航路を変更するよう定めており、「あたご」側に回避義務があった可能性が高い。
 実効性ある再発防止策のためにも、防衛省は、海保に協力して事故の経緯を検証し、責任を明確にすべきだ。
 防衛省内の危機管理体制の不備も問題だ。石破防衛相への報告は事故発生の1時間半も後だった。福田首相は、「すぐに大臣には連絡が行かないといけない」と防衛相に改善を指示した。
 事態の重大性に応じて、より迅速に情報を防衛相らに伝達する体制を構築することが急務である。
 海自では近年、不祥事が続いている。イージス艦情報流出事件は、日米の安全保障関係にも影響を与えた。インド洋での給油量取り違えや航海日誌の誤廃棄のほか、昨年12月には横須賀基地に停泊中の護衛艦「しらね」で火災が起きた。
 不祥事の防止に地道に取り組み、国民の信頼回復を図る必要がある。


---イージス衝突―なぜ避けられなかったか---
社説 2008年02月20日(水曜日)付
http://www.asahi.com/paper/editorial.html

 大きな鉄の塊のような自衛艦とぶつかったのでは、長さ12メートルの漁船はひとたまりもなかっただろう。船体が真っ二つに割れ、乗っていた58歳と23歳の漁師の親子は、冬の海に投げ出されて行方不明になった。
 千葉県野島崎沖の太平洋で起こった海上自衛隊のイージス護衛艦「あたご」とマグロはえ縄漁船「清徳丸」の事故は、あまりにも痛ましい。双方の大きさや装備を比べれば、これほど圧倒的な差のある者同士の衝突はないだろう。
 イージス艦といえば、高性能のレーダーを持ち、複数の敵の攻撃に同時に立ち向かうことができる最新鋭艦だ。それがどうして目の前を航行している漁船に直前まで気づかなかったのだろうか。なんとも不思議である。
 早急に解明してほしい疑問が、いくつもある。
 この日の海は穏やかだった。夜明け前で暗かったとはいえ、自衛艦のレーダー画面に漁船は映っていなかったのか。
 艦橋の左右にいたはずの見張りは何をしていたのか。一方、漁船の側の注意は十分だったのか。
 自衛艦は漁船に気づいて衝突を避ける行動をとったというが、どのくらいの距離で見つけたのか。気づくのも回避行動も遅すぎたと思わざるをえない。
 現場はふだんから船の行き来が多い海域だ。航行には厳重な注意が必要とされている。まして、事故の直前にも別の漁船が前方を横切っている。それなのに衝突を防げなかったとすれば、どこかに気のゆるみがあったのではないか。
 自衛艦は漁船の側面に直角に近い角度で衝突したようだ。衝突までの経緯によって、どちらにより大きな回避義務があったかが決まるが、自衛艦側に責任がなかったとは言えまい。
 海上自衛隊の艦船による事故といえば、20年前の潜水艦「なだしお」の事故を思い出す。神奈川県横須賀沖で大型釣り船と衝突、釣り客ら30人が犠牲になった。裁判では、釣り船の行動にも問題があるものの、「なだしお」の回避が遅れた責任がより重いとされた。
 今回の衝突事故では、第3管区海上保安本部が、業務上過失往来危険の疑いで捜査に乗り出した。海上自衛隊も事故原因の解明を急がなければならない。
 政府は事故の報を受けて、ただちに首相官邸に「情報連絡室」を設置し、対応にあたった。これは当然のことだが、問題は事故の発生から石破防衛相に報告が伝わるまで約1時間半、首相まで約2時間もかかったことだ。危機管理の観点からは、あまりにも遅い。
 防衛省は昨年の「省」昇格以来、元次官の汚職、インド洋での給油量の隠蔽(いんぺい)疑惑、護衛艦の中枢部分がほぼ全焼した原因不明の火災など、問題続きである。
 こんなことでは、国民の信頼が失われ、自衛隊の存立の基盤そのものが揺らぎかねない。

HD-DVD―教訓生きたスピード決着
 記録容量が大きい次世代DVDの規格戦争が終結した。「HD―DVD」陣営の東芝が撤退を宣言し、ソニーや松下電器産業などの「ブルーレイ・ディスク」陣営が勝利をおさめたのだ。
 規格争いは、やむを得ない面がある。メーカーが技術や販売で激しく競争しており、競争こそが革新を生む原動力だからだ。どれを世界標準とするかは政府などが決めるのでなく、市場での勝敗、つまり消費者の選択に委ねよう、というのが近年の世界的な流れでもある。
 とはいえ、早く規格が統一されないと敗退した規格を買って損をする消費者が多くなるし、買い控えを呼んで新商品の普及も遅れてしまう。
 その点で、以前の教訓が生きたと言えるだろう。70~80年代のVTRでは、松下などの「VHS」がソニーの「ベータ」に勝利するまで発売から13年かかったが、今回は機器発売から2年での決着だ。世界標準規格を決する試験期間としてはかなり短期間で終わり、消費者への悪影響が少なくてすんだ。
 東芝はHD―DVD機器の購入者に対して、アフターサービスに万全を期す方針という。こうした目配りを今後しっかりと続けてほしい。
 東芝に撤退を決断させたのは、米ハリウッドの映画産業だ。映像媒体の規格に大きな影響力をもつハリウッドで、両陣営の勢力は拮抗(きっこう)していた。ところが、今年に入ってワーナー・ブラザースがブルーレイ陣営の支持を決定したことで、ハリウッドの大勢が決した。
 東芝の西田厚聡社長はワーナーの決定を「寝耳に水だった」とくやしがったが、「もはや勝ち目はない」という判断は冷静で、決断は素早かった。
 90年代後半から世界市場で劣勢を余儀なくされた日本の電機メーカーは、米欧型の「選択と集中」の経営スタイルを採り入れた。西田氏はその代表的な経営者と見られている。特定分野への集中投資では注目されてきたが、こんどは撤退でもそのスタイルを貫いた。
 負けて高い授業料を払った東芝だが、勝ったソニーや松下にしても、勝利の美酒に酔えるわけではない。激しい販売競争の結果、次世代DVD機器が急速に値下がりしており、これから大きな利益を得られる保証はないからだ。
 デジタル映像市場での勝者になることを約束してくれたわけでもない。
 高速・大容量の通信ができるブロードバンドが普及し、インターネットで音楽や映像をとりこめる時代だ。とりこんだ映像を記録機器内蔵のハードディスクにためるだけで、DVDを使わないかもしれない。それどころか、記録媒体にはためず、見たい時だけダウンロードするようになる可能性すらあるのだ。
 デジタル技術の移り変わりは速い。明日の勝者は、きょう負けた東芝になるかもしれない。超スピード競争社会のこわさであり、ダイナミズムでもある。


---【社説】 イージス艦 あってはならぬ事故だ---
2008年2月20日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2008022002088970.html

 最新鋭の機能を備えたイージス護衛艦が漁船と衝突、二人が行方不明になった。国民の安全を守るはずの自衛隊としては考えられない事故だ。昨年来、不祥事続きの防衛省の規律に緩みはないか。
 真っ二つに割れた漁船の船体が千葉県・野島崎沖の太平洋上に浮かぶさまは衝撃のすさまじさを物語っていた。海上自衛隊イージス艦「あたご」は七、七五〇トン、マグロはえ縄漁船「清徳丸」は七・三トン。衝突した漁船はひとたまりもなかったろう。乗組員の安否確認や救助、原因究明が急がれるが、自衛隊の責任は極めて重い。
 イージス艦のイージスとはギリシャ神話に出てくる「万能の盾」のこと。高性能レーダーで敵の航空機やミサイルを探知し、瞬時に十個以上の目標を迎撃できる機能を持つ。昨年末には「こんごう」が米ハワイ沖で海上配備型迎撃ミサイル(SM3)の発射実験に成功したばかり。日米同盟の象徴として自衛隊内の期待は大きかった。
 その最新鋭艦あたごが漁船との衝突を回避できなかったのはなぜか。政府側の説明では、当時艦橋には見張りの乗員がおり、水上レーダーも作動していたという。だが、事故は起きた。気の緩みが考えられる。現場は東京湾に出入りする船舶の交通量が多いところで、細心の注意を払うのが当然だろう。
 一九八八年に潜水艦「なだしお」と釣り船が衝突、乗客ら三十人が死亡する大惨事があった。その後も海上自衛隊の艦船と民間船の事故は度々起きている。外敵の動向に警戒を強める一方で、国内で事故を起こしていては国民に信頼される防衛行政など成り立つまい。海上衝突予防法では、清徳丸を右側に見ていた場合、あたご側に回避義務がある。海上保安庁は究明を急いでほしい。
 疑問はまだある。十九日午前四時すぎに事故が起きたのに石破茂防衛相への一報は約一時間半後、福田康夫首相へは約二時間後だった。あまりに遅すぎる。重大事件が起きるたびに政府部内の危機管理対応のまずさが指摘されてきたが、いつまで同じ過ちを繰り返すのか。
 防衛省では昨年、守屋武昌前事務次官の汚職や、米補給艦への「給油量ミス」隠ぺい問題などの不祥事が相次いだ。昨年末には防衛省改革に関する有識者会議を発足させて出直しを誓ったはずだが、省内の体質改善はなかなか進みそうもない。
 緊張感が足りなすぎる。石破防衛相の指導力が問われる事態だ。「遺憾だ」などと悠長に語っている余裕はないはずだ。


---社説:イージス艦衝突 どこを見張っていたのか---
毎日新聞 2008年2月20日 0時17分
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20080220k0000m070171000c.html

 最新鋭のハイテク艦船が、長さも幅も10分の1程度でしかない小さな漁船に衝突し、船体を真っ二つにしてしまう。あってはならない事故が起きた。
 海上自衛隊のイージス艦「あたご」は、1月下旬にハワイで対空ミサイルの装備認定試験を受けた後、寄港先の海自横須賀基地に向かっていた。一方、千葉県勝浦市の漁協に所属するマグロはえ縄漁船「清徳丸」は、僚船とともに三宅島方面へ出漁する途中だった。
 事故は19日午前4時すぎに千葉県野島崎沖40キロの海上で起きた。漁船に乗り込んでいた父子は、冬の海に投げ出されて行方不明になっている。無事救出されることを願うばかりだ。
 衝突当時の詳細な状況は判明していない。ただ、2隻の予定航路から推定すると、太平洋を北上して東京湾に入ろうとしていた「あたご」が、南西方向に進路を取っていた清徳丸の左舷にぶつかった可能性が高いようだ。
 この場合、「あたご」から見て清徳丸は、右舷方向から接近してきたことになる。海上衝突予防法は、2隻の船が交差する場合、相手の船を右舷側に確認した船に衝突回避の義務があると定めているため、衝突直前の位置関係が過失責任を認定するうえで重要なポイントになる。
 それにしても、数百キロも離れた複数の空中標的を同時に探知、追跡できる高性能レーダーと情報処理能力を備えたイージス艦が、なぜ目の前の漁船と衝突するような初歩的な事故を起こしてしまったのか、疑問はつきない。
 海自によると、イージス艦の高性能レーダーは対空専用のため、周辺海域に対しては他の艦船と同様の水上レーダーを使用していて、小さな漁船だと捕捉できないこともあるという。
 むしろ見逃せないのは、「あたご」の乗組員による見張りが十分だったかどうかだ。事故当時、艦内は通常の当直体制にあり、ブリッジには10人程度が任務に就いていたという。
 現場は漁船や東京湾を出入りする船舶が数多く往来する海域だ。その自覚を持って当直の見張りが機能していれば、衝突を回避できたのではないか。
 海上自衛隊では昨年来、不祥事が後を絶たない。
 刑事事件に発展したイージス艦のデータ流出に始まって、油の転用疑惑にかかわる給油量の隠ぺい、航海日誌の無断破棄。さらに昨年12月に起きたヘリ搭載護衛艦「しらね」の火災は、無許可で持ち込まれた隊員の私物が原因と見られている。
 これらの規律の緩みが今回の事故とどこかでつながっていないかどうか、海自は厳重に点検すべきだ。また文民統制の観点から、重大事故が起きた際の防衛相や首相への速報体制についても改めてチェックする必要がある。

---クローズアップ2008:イージス艦・漁船衝突(その1) ハイテクの弱点露呈---
毎日新聞 2008年2月20日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080220ddm003040150000c.html

◇レーダーに「死角」 強化プラスチック映らず?
 漁船と衝突したのは、ハイテク機器を装備した最新鋭のイージス艦だった。「なぜ早い段階で発見できなかったのか」。漁船側の関係者に怒りが募る中、事故は、ハイテク艦船でも小型の漁船を発見できない場合があることを浮き彫りにした。一方、福田康夫首相に事故の報告が上がったのは発生から2時間後。政府の危機管理能力が問われる事態となった。
 「素人的に考えると、(漁船が)レーダーに映らなかったのか。万一、自爆テロの船だったらどうするのか」。19日の閣議後会見で渡辺喜美金融行革担当相は疑問を呈した。
 イージス艦「あたご」の顔は、最新鋭の対空レーダー(SPY-1D)。探知距離は他の護衛艦より長く、対空では100キロを超え、360度で多数の対象の探知、識別、追尾が可能だ。しかし、このレーダーは有事の際、ミサイルなどの攻撃に対応するための装備だ。
 事故当時は特別な作戦や訓練中ではなかったため、通常、護衛艦に装備されている水上レーダーを作動させていた。艦橋(ブリッジ)と戦闘指揮所(CIC)にそれぞれあるモニターを通し、半径約20キロの範囲で他の船舶の動向を当直隊員が常時監視していたという。
 このレーダーの弱点は、「清徳丸」のように船体が強化プラスチック素材(FRP)の場合、金属ではないためレーダーの電波が反射しにくく、捕捉が難しい点だ。また対象が300メートル以内に近づいた場合、構造的に船影の捕捉が不能になるという問題もあるという。
 吉川栄治海上幕僚長は19日の会見で、レーダーは正常に作動していたと語ったうえで、「漁船クラスだとレーダーに映らないことがあるのか」との質問に「はい」と認めた。

 レーダーによる監視に加え、航行中は見張り員による目視が頼りになる。
 通常、護衛艦では8時間ごと3交代で乗員が見張りにつく。事故当時のように通常航行の場合、一般にブリッジだけで、船全体を統括する当直士官、海図を見る副直士官のほか、操舵(そうだ)や水上レーダーの担当員ら10人程度が配置される。戦闘指揮所には、別の当直士官がやはり10人程度配置される。しかし、こうした多数による監視でも事故は防げなかった。
 あたごは昨年3月、国内では5隻目のイージス艦として就役した。全長165メートル、幅21メートル、排水量は7750トンで護衛艦の中で国内最大。米ハワイで対空ミサイルSM2の発射試験を実施し約3カ月ぶりで日本に帰国する途中だった。
 凱旋(がいせん)帰国に気のゆるみはなかったのか。
 自衛隊幹部は「漁船の航行が多い地域であり、見張りは、しっかりチェックするよう指示してきた。帰国の途、接岸するまでが任務とはいえ、初めての試験を無事果たし、まもなく帰国というこのタイミングで事故が起きるとは全く残念」と話した。
 軍事評論家の神浦元彰さんは「漁船のような強化プラスチック素材を素通りし、探知しにくい場合があるのは事実」としたうえで、「衝突時、なぎに近い状態で、霧も出ていなかった。見張りが先端と左右で規定通りに目を光らせていれば漁船を避けることができたはずだ」と指摘する。【本多健、加藤隆寛】

◇あたご乗組員「緑灯見た」--112度圏内で可能
 今回の事故では、あたごの艦橋にいた乗組員の「緑色の灯火を視認した」という証言に関心が集まっている。
 海上衝突予防法は、日没から日の出までの運航の間は船の右舷に緑色、左舷には赤色の灯火点灯を義務付けている。右舷(緑)灯は船首方向から船体右後方まで112度、左舷(赤)灯は船首方向から左後方に同じ112度の範囲で視認できる。視認範囲を限ることで、灯火がどのように見えるかによって船の進路が判断できる。
 清徳丸クラスの船舶ではマスト灯(白色)、船尾灯(白色)の点灯も義務付けられている。出港時に目撃した僚船の船長は「四つとも正常」と証言している。
 海自の説明では、乗組員は緑灯のみを視認。清徳丸が衝突直前に「前方約100メートルで右にかじを切った」という証言があり、進路を変えたことであたごから赤灯が視認できた可能性があるが、赤灯は目撃されていないという。【山田泰正】

◇海自艦船、「税金の無駄」批判も
 海上自衛隊がヘリ搭載護衛艦「しらね」の火災は私物の保温冷機の過熱が原因との見方を固めたことが明らかになった当日、イージス艦「あたご」の衝突事故が発生した。多額の費用がかかる海自の艦船による規律の緩みが原因とみられる相次ぐ不祥事。政府内には「税金の使い道として適切なのかどうかという議論が起きる」との懸念が出ている。
 昨年12月に横須賀基地(神奈川県)で発生した火災により、「しらね」の戦闘指揮所(CIC)がほぼ全焼した。そのまま改修すれば、200億~300億円かかるとされる。退役する別の護衛艦から通信機器などを移設した場合も50億円。
 甘い危機管理の後始末に多額の税金がつぎ込まれることに国民の批判が高まることが予想された中、衝突事故が追い打ちをかけた格好となった。
 「あたご」の建造費は約1400億円で、整備費などの年間維持費だけで十数億円かかる。今回は総額約31億円を費やした迎撃ミサイル発射実験の帰港途上だっただけに、民間人を巻き込んだ衝突事故が及ぼす影響は大きいとの見方が強い。
 また、イージス艦はミサイル防衛(MD)の対応艦だが、「あたご」は弾道ミサイルが迎撃対象のSM3ミサイルをめぐる計画には組み込まれていない。日米で共同開発中の次世代型SM3の開発が成功した場合の対応艦として温存しているためだ。今回の事故への批判が高まれば、MD配備計画自体にも波及する可能性がある。【田所柳子】


---クローズアップ2008:イージス艦・漁船衝突(その2止) 福田政権また失点---
毎日新聞 2008年2月20日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080220ddm002040074000c.html

◇「反転攻勢」の矢先--防衛省改革、議論生きず
 海上自衛隊のイージス艦「あたご」と漁船の衝突事故は、内閣支持率がジリジリ下がる福田康夫首相にとって大きな痛手となりそうだ。政府の初動対応のもたつきは、相次ぐ不祥事を受けて首相官邸主導で進める防衛省改革に疑問符を突き付けた。さまざまな手段を用いた政権浮揚を目指す中、首相は新たな難題を抱え込んだ。
 先週から官邸では、「福田カラー」を打ち出すことを狙った新しい会議の発足や人事発令が相次いでいる。
 首相が1月の施政方針演説で掲げた「消費者行政の一元化」を検討するための有識者会合の初会合が12日。翌13日には社会保障担当首相補佐官に伊藤達也元金融担当相を任命した。さらに、週内にも北海道洞爺湖サミットを念頭に地球温暖化対策のための有識者会議がスタートする。
 このように「反転攻勢」をもくろんでかじを切ろうとした矢先の衝突事故。「福田戦略」は出はなをくじかれることになった。
 今回の事故では、石破茂防衛相に事故情報が伝わるまでに1時間半、首相には2時間。町村信孝官房長官は19日の記者会見で「救助のための首相指示」があったことを繰り返し強調したが、現場海域では2時間も首相指示のない捜索活動が続いたことになる。
 情報伝達迅速化は04年11月の中国の原子力潜水艦の領海侵犯事案でも問題となった。防衛庁(当時)は05年9月、報告基準を定めた事務次官通達を発令。重大な事件・事故は自衛隊担当部署から直接秘書官を通じて防衛相に速報するよう明記していた。この通りに対応していれば、今回の連絡は1時間近く短縮された計算になる。
 初動対応批判は直接は防衛省・自衛隊に向かうとみられる。しかし、「現場からの速やかな情報伝達」は昨年12月に官邸に設置された「防衛省改革会議」の主要議題の一つ。官邸主導の議論の成果が上がっていないことを裏付ける形となった。
 石破氏は19日夕、官邸に首相を訪ね、緊急時に自衛隊の各幕僚長から防衛相に直接連絡する仕組みを作る方針を伝えたが、かえって「泥縄式の対応」という印象を与えた。【古本陽荘】

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■イージス艦・漁船衝突ドキュメント
13・00   吉川栄治海上幕僚長が記者会見で、イージス艦「あたご」が漁船「清徳丸」に気づいて回避行動を取っていたことを明らかに。「水上レーダーも正常に作動」
13・28   福田康夫首相が衆院本会議で「事故は極めて遺憾。絶対にあってはならない。未然に防ぐことができなかったか原因を究明し、二度と事故を起こさないよう対策を講じなければならない」と発言
16・07   石破茂防衛相が首相官邸で福田首相に状況報告。首相は「引き続き行方不明の方の捜索に万全を期すように」と指示
16・30   横浜地方海難審判理事所が調査本部を設置。あたごの船体検査に5人を派遣
17・00   自民党部会で石破防衛相が衝突までの3分間の状況を説明
17・11   あたごが海自横須賀地方総監部近くの吉倉桟橋に着岸
17・12   横須賀簡裁が、業務上過失往来危険容疑であたごの家宅捜索令状と検証令状を発付
17・25   捜索に出ていた新勝浦市漁協所属の漁船が千葉県勝浦市の川津港に戻って接岸し始める
17・50   横須賀海上保安部があたごの捜索を開始
18・20   衝突直前にあたごと遭遇した清徳丸の僚船「金平丸」の船長が記者会見。海自が二つに分かれた清徳丸の船尾部分を千葉県館山市沖に向けえい航開始
19・00ごろ 船首部分のえい航開始
22・55   あたごの捜索終了

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◆事故を受けた政府の初動◆
4時07分 あたごと清徳丸が衝突
4時23分 あたごが第3管区海上保安本部に通報
4時48分 あたごが所属する護衛艦隊司令部が海上幕僚監部に連絡
5時00分 吉川栄治海上幕僚長と防衛省運用支援課に報告
5時35分 防衛省運用支援課から北村博文官房長官秘書官に一報
5時40分 石破茂防衛相に吉田正法秘書官から一報
5時50分 町村信孝官房長官に北村秘書官から一報
5時55分 首相官邸危機管理センターに情報連絡室を設置
6時00分 防衛省運用支援課から連絡を受けた栗生俊一首相秘書官が公邸の福田康夫首相に連絡
6時18分 防衛省が連絡対策室を設置
7時56分 首相公邸出発
7時58分 国会で緊急閣僚会議

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◆最近の主な防衛省・自衛隊不祥事◆
06年 9月 海上自衛隊のミサイル艇が、青森県むつ市の大湊地方総監部で機関砲を誤射。工場屋根に着弾
   11月 宮崎県日南市の東海上で、浮上訓練中の海上自衛隊の練習潜水艦「あさしお」がパナマ船籍のタンカーと接触
     同 イラクに派遣された航空自衛隊員の私有パソコンから、多国籍軍の秘密資料がインターネット上に流出
07年 1月 海上自衛隊第1護衛隊群(神奈川県横須賀市)の2曹の自宅から、イージス艦情報の入ったファイルを押収。神奈川県警などが流出源となったプログラム業務隊の3佐を12月に日米秘密保護法違反容疑で逮捕
    7月 久間章生防衛相が、講演で「原爆投下はしょうがなかった」と発言し、引責辞任
    9月 テロ特措法に基づく海上自衛隊の米艦船への給油量について、政府が80万ガロンを20万ガロンと誤って説明していたことが市民団体の指摘で判明。海自幹部が誤りに気付きながら上司らに報告していなかったことも後に明らかに
   10月 インド洋で給油活動中の海上自衛隊補給艦「とわだ」の「航泊日誌」の一部が、保管期限内にもかかわらず破棄されていたことが発覚
   11月 防衛専門商社「山田洋行」元専務からゴルフ旅行接待を受けた見返りに、防衛装備品の納入で便宜を図ったとして、東京地検特捜部が前防衛事務次官の守屋武昌容疑者らを収賄容疑で逮捕
   12月 海上自衛隊横須賀基地に停泊中の海上自衛隊第1護衛隊群の護衛艦「しらね」から出火し2人けが。戦闘指揮所に無許可で持ち込まれた保冷温庫の過熱が原因と判明


---「最新鋭のレーダーでも見つけにくい」 「世界の艦船」編集長 木津徹---
2008.2.19 10:43
http://sankei.jp.msn.com/affairs/disaster/080219/dst0802191042011-n1.htm

 「世界の艦船」編集長、木津徹氏の話「イージス艦の搭載している最新鋭のレーダーは対空、対艦ミサイルの発見には適している。しかし、レーダー画面では小型漁船と海面のちらつきとは区別がつきにくく、発見しにくいはず。現場付近の海域は、漁船などを含めてさまざまな船舶が輻輳(ふくそう)しており、事故が起きやすい。それだけに、自衛艦は一般の商船よりも厳しく見張りをしており、目視による警戒もしているはずで、当時の警戒態勢がどうなっていたかが、かぎになるだろう」

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