2008年5月26日月曜日

中露反米で結束 実際は競合

中露は反米で結束したようだが、実際は競合のようだ。
露は上海協力機構を足場に、インドやイランなども引きつけながら、米国中心
の世界秩序に対して、独自の勢力を固めていく戦略。
しかし、
・露から中国への武器輸出は62%減少。
・中国製工業製品が露へ急増し、政策と不一致。
・ガスプロムから中国へのの天然ガス供給価格交渉は中断。

温暖化で北極海が航行可能となると安全保障の範囲が変わるようだ。
・プーチン元大統領は「北極はわれわれのものだ」と宣言。
・欧米は「北極海の安全保障を確立するには、沿岸5カ国のうちカナダと米国
 が協力し主導することが重要だ」と言う。
・中国も北極海周辺国に投資し、間接的に北極海の航行権と資源を狙っている。

日本財団が一時投資したらしいけど、以後どうなったのだろう。

---中露首脳会談 「反米」で結束も軍事や経済不信---
2008/5/26
http://www.business-i.jp/news/china-page/news/200805260008a.nwc

 ロシアのメドベージェフ大統領は23日から2日間にわたる就任後初の中国訪問で、米ミサイル防衛(MD)計画を批判する共同声明を出すなど、米国への対抗軸として中露の結束を強調した。外交的な利害が一致する中露は、政治主導で今後も結び付きを強めそうだが、両国には経済や軍事面で不信感も根強く、中国への燃料供給など懸案は残ったままだ。

▽反撃
 メドベージェフ氏の訪問で目立ったのは、共同声明での対米批判だ。名指しこそしなかったものの、「人権問題を利用した内政干渉」に反対、「テロとの戦い」は国連憲章に基づくべきだと訴えるなど、従来にも増して強い調子。米欧は、ロシアの民主化後退を指摘し、チベット暴動の鎮圧などで中国を批判してきた。これに中露が反撃した形だ。
 胡錦濤国家主席は記者会見で、メドベージェフ氏が最初の外遊先に中国を選んだことは「両国関係重視の表れだ」と満足感を示し、「主権や領土、国家安全にかかわる重大問題で支持し合う」必要性を強調した。
 「実利主義者」といわれるメドベージェフ氏も、第1副首相を務めた時期に中露交流の責任者となり、経済成長を続ける中国との経済協力は極東に発展をもたらすと主張。両国は中央アジア4カ国も含む上海協力機構(SCO)を足場に、インドやイランなども引きつけながら、米国中心の世界秩序に対して、独自の勢力を固めていく戦略だ。

▽競合
 四川大地震をめぐっても、胡主席がロシアの救助隊派遣に謝意を表明し、メドベージェフ氏がリハビリのために被災地の児童を受け入れる用意を表明するなど友好ムードを演出した。
だが、中露関係は蜜月とは言い切れない状況にある。
 ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、昨年のロシアから中国への武器輸出は前年比で62%も減少。中国は最大の輸出先だっただけに、ロシア側の動揺は大きい。中国は最近、自国でのライセンス生産を求めているが、ロシア側は国防技術の流用を警戒しており、信頼関係構築には程遠いのが現状だ。
 また貿易の拡大で安価な中国の工業製品の流入が急増し、資源依存経済からの脱却を目指すロシア側に反発も出ている。
 トルクメニスタンなど中央アジアの天然ガスの支配をめぐって中露は競合関係にあり、メドベージェフ氏が会長を務めてきたロシア政府系企業ガスプロムが狙う中国へのガス供給も価格交渉で行き詰まったままだ。
 今回の訪問でも、石油・天然ガス供給で合意文書の署名には至らず、経済面では大きな成果を挙げることはできなかった。(北京 共同)


------【地球をどうしますか 環境2008】北極海で進む“新冷戦”---
2008.5.26 08:08
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/080526/erp0805260814000-n1.htm

■海氷の厚さ測る原潜
 東西冷戦時代、米ソ両国にとり核戦略の“要衝”のひとつであった北極海。厚い海氷の下では今も、長距離弾道ミサイルを搭載した戦略原子力潜水艦が、深く静かに潜航する。急速に進む地球温暖化による解氷が原潜に新たな“任務”を与えている。解氷は安全保障にも影響を及ぼしつつあり、海底資源や航路をめぐる権益争いとも相まって「新たな冷戦」が進行している。(ロンドン 木村正人)
 冷戦下で北極海はなぜ、それほど重要だったのか。それは地理的な要因にほかならない。米ソがモスクワやワシントンなどを弾道ミサイルで攻撃するうえで、北極海は“至近距離”にある。それだけミサイルの到達時間は短くなり命中度も高まる。厚い海氷のおかげで、原潜は対潜哨戒機や、艦船のソナーに探知されにくい。ソ連の原潜にとり、米国へ接近するには、極東から太平洋を抜けるよりも、北極海を通った方が“近道”でもある。
 ソ連と、米英は海氷の下で原潜による演習と調査を繰り返した。原潜の運航には、海底の地形や海氷、海流の状況などを把握することが不可欠だ。それらのデータや情報は「生命線」ともいえる。
 1971年から6回にわたり英潜水艦による調査に参加した人物がいる。北極研究の権威、英ケンブリッジ大学のピーター・ワダムス教授(59)だ。「調査は極秘に行われた。閉所恐怖症に悩まされ、ソ連の原潜に接近し、緊張を強いられたこともある」と振り返る。
 それも、冷戦がすでに終わった96年の調査の後、中断され、2004年に米英合同の形で再開される。実は、このときから調査の主目的が大きく変わった。それは、地球温暖化による海氷融解の進行を観測することである。かつて海底を探っていたソナーは、氷の厚さを測定するため海氷の底に向けられた。衛星の観測では海氷がどれだけ薄くなっているのかまでは分からず、原潜による調査が最も正確だという。

 この年の9月に観測された海氷面積は約413万平方キロ。2年前に比べ約117平方キロの海氷が消失していた。ワダムス氏は「北極海の氷は当初、2080年に消えると予測されていた。それが60年になり、40年になり、最新データでは13年の夏になくなると予測されている」という。
 軍事戦略上の視点でみると、北極海の重要性は今も変わらない。そして、海氷が消失していけば空からも海からも、原潜の動きは探知されてしまうのだ。“隠れみの”となる海氷の変化と分布の把握が重要なゆえんである。
 海氷が解けていけば砕氷船ではない船舶でも航行できるようになり、北極海航路が確保できれば沿岸諸国などに大きな利益をもたらす。この点からも原潜が収集したデータは重要だ。
 そして、冷戦時代から続く海底の地形データもモノをいう。北極海の海底にはロシアからカナダ領のエルズミーア島にかけてロモノソフ海嶺が延びている。この海嶺が北極圏における権利を主張する際のカギを握る。「海の憲法」と呼ばれる国連海洋法条約では、陸地から続く大陸棚であれば、その沿岸国に海底資源の開発独占権が与えられると規定されているからだ。
 ロシアは01年に、国連大陸棚限界委員会に権利を申請している。申請が13年になる予定のカナダは、原潜による海底の地形データをもつ英国に協力を求めている。

■主権争いで紛争懸念の声も
北極海の主権争いが過熱している。
 昨年8月、潜水艇で北極点の海底に国旗を立てたロシア。プーチン大統領(現首相)は「北極はわれわれのものだ」と宣言した。北極圏の島に軍事施設を建設すると発表したカナダのハーパー首相も「北極の主権を守る大原則は『利用するか失うか』だ」としている。
 北極海で攻勢を強めるロシアに対し、米国の動きは鈍い。米フォーリン・アフェアーズ誌に「北極融解」と題した論文を発表した米沿岸警備隊の元副司令官、スコット・ボーガソン氏は「ブッシュ政権は地球温暖化の現実に目覚めるのがあまりにも遅かった。北極海における権利の主張なども遅れ、北極海に力の空白を生んでしまった」としている。米沿岸警備隊はようやく今年半ば以降に、北極圏での艦艇の訓練や長距離偵察機の運用を開始するという。
 将来の紛争を懸念する声も出始めており、ボーガソン氏は紛争を予防するため、米国主導で関係国による「北極条約」をとりまとめ締結するよう提案している。
 また、英王立国際問題研究所(チャタムハウス)で温暖化が安全保障などに与える影響を研究しているクレオ・パスカル氏は「北極海の安全保障を確立するには、沿岸5カ国のうちカナダと米国が協力し主導することが重要だ」としている。

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