2008年7月10日木曜日

人工麝香 体内に蓄積

人工麝香(じゃこう)は日用品に多く使われているようだ。
石鹸、洗剤、高級化粧品等無くてはならないものになった。
しかし、体内に残り、環境ホルモンとして問題があるようだ。
「胎児や乳児は化学物質の影響を受けやすいので、妊娠中や授乳期には香料を
使った製品の使用を控えるなどして、摂取をできるだけ減らすのが望ましい」
とのこと。
HHCBなどは生体内に比較的残留しやすい上、男性ホルモンの働きを妨げる作用
などが動物実験で指摘されているようだ。
環境汚染により小型鯨類や魚介類にも影響を受けている。
環境ホルモンの話題は周期的にやってくる。


---人工麝香、体内に蓄積 母乳や脂肪から微量検出---
2008年7月10日 09時11分
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008071001000168.html

 高級香料であるムスク(麝香)の代替品として化粧品や香水に使われ、生物のホルモンの働きを乱す内分泌かく乱(環境ホルモン)作用も指摘される「人工麝香」が、日本人の母乳や脂肪組織中に残留していることを佐賀大、愛媛大、熊本大の共同研究グループが10日までに突き止めた。
 欧米では報告例があるが、日本人の体内から検出されたのは初めて。
 グループの上野大介佐賀大講師は「母乳濃度から推定した乳児の摂取量は、影響が心配される量の100分の1から1000分の1と少なく、現状では問題にならない」としながら「胎児や乳児は化学物質の影響を受けやすいので、妊娠中や授乳期には香料を使った製品の使用を控えるなどして、摂取をできるだけ減らすのが望ましいだろう」と話している。
 検出したのはHHCBとAHTNという2種類の人工麝香。HHCBなどは生体内に比較的残留しやすい上、男性ホルモンの働きを妨げる作用などが動物実験で指摘され、欧州では使用規制の動きもある。(共同)


---人工麝香、生物中に蓄積 化粧品や香水に使用---
2005/7/16
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200507160081.html

 高級香料であるムスク(麝香)の代替品として化粧品や香水に使われ、欧米では環境汚染が
指摘されている人工香料「HHCB」が、有明海と八代海にすむ小型鯨類のスナメリや魚介類に
蓄積していることが熊本大と長崎大、京都大の共同研究グループの分析で16日分かった。
 HHCBは生物の酵素のバランスを崩し、ホルモンに似た働きをする疑いが指摘されている。
 今回の研究で胎盤を通り胎児に移行することも判明。グループの中田晴彦熊本大助手は
「合成香料が海の生態系の中で非常に濃縮されやすいことが分かった。日本の沿岸域や、
欧州で高濃度の汚染が確認されている下水処理施設周辺などを含め、詳しい調査をする必要がある」
と話している。
 グループは採取したスナメリやシュモクザメ、エイ、貝などに含まれる人工香料の濃度を分析した。
 スナメリの場合、分析した八頭すべてからHHCBが検出され、特に脂肪組織中の濃度が高かった。
サメやエイの体内濃度も小型の魚類に比べて高く、食物連鎖を通じて体内に蓄積したと考えられた。
またスナメリの胎児からも母親と同程度の濃度のHHCBが検出された。
 HHCBは高価な天然香料の麝香に似た香りがある。化粧品や洗剤などに広く使われ、
非常に高い濃度で含まれる香水があることも報告されている。
 欧州の主要国では下水処理場周辺の魚の中から高濃度のHHCB汚染が確認されるなどして、
環境汚染が問題化した。日本での生産はほとんどなく、使用実態は明らかでない。
ただ海外から年間約8トン程度を輸入したとの記録があり、河川水などからの検出例もある。


---人工麝香---
2005年7月16日(土)東奥日報
http://www.toonippo.co.jp/news_hyakka/hyakka2005/0716_10.html

 人工麝香(じゃこう) 古代から高級香料として珍重されてきた麝香に似た香りを持つ人工物質の総称。価格が高い天然麝香の代替品として広く使われるようになり、現在流通しているものの多くは合成品とされる。初期に開発されたニトロムスクという物質の一部に毒性の強いものがあることが指摘され、HHCBなど「多環ムスク」と呼ばれる物質が使われるようになった。


---浮遊粒子状物質および香料由来の環境化学物質による生体影響評価に関する研究---
生産科学研究科 森 大樹
http://www.nagasaki-u.ac.jp/zaigaku/ronbun/ronbun0706/seisan0706/seisan0706kan/seisan_kan122ronbun.pdf

 産業発展とともに様々な大気汚染が発生してきた。近年、粒径が小さい粒子状物質による大気汚染が問題視されている。しかしながら、浮遊粒子状物質に含まれる健康リスクを増加させる化学物質の解明には至っていないのが現状である。本研究では、半閉鎖的空間の浮遊粒子状物質を対象とし、粒径別による化学物質分析、in vitro、in vivo 試験による生体影響評価、その原因と示唆される化学物質の同定を行うことを目的とした。

 第1章では、大気中の浮遊粒子状物質に含まれる健康リスクを増加させる化学物質の解明が不十分である現状を説明し、半閉鎖的空間の浮遊粒子状物質を対象とした粒径別による化学物質分析とin vitro、in vivo 試験による生体影響評価から化学物質の同定を行う本研究の目的を述べた。

 第2 章では、半閉鎖的空間の大気中に存在する浮遊粒子状物質を、粒径10 μm 以上、10~2.5 μm、2.5 μm 以下の3 段階に分けて捕集を行い、それぞれの粒径別の大気中濃度および検出された有害有機化合物を示した。また、捕集場所での浮遊粒子状物質の発生源について考察を行った。

 第3 章では、半閉鎖的空間より捕集された試料と、沈降粉塵抽出試料について、ヒトエストロゲンレセプターα (hERα)を組み込んだ酵母two-hybrid アッセイを用いてエストロゲンアゴニスト活性およびアンタゴニスト活性の評価を行った。その結果、浮遊粒子状物質では両活性は認められなかったが、ゴムタイヤ式地下鉄駅構内で採取した沈降粉塵ではエストロゲンアンタゴニスト様活性が認められ、さらに、ラット肝S9 処理後に酵母に対する増殖阻害を有することを明らかにした。

 第4 章では、ゴムタイヤ式地下鉄駅構内の沈降粉塵からエストロゲンアンタゴニスト活性を有すると示唆されている多環ムスク類を検出し、この多環ムスクのエストロゲン作用についてhERαおよびhERβを組み込んだ酵母two-hybrid アッセイを用いてin vitro 評価を行った。その結果、合成香料の生産科学研究科 森 大樹多環ムスク類である 7-acetyl-1,1,3,4,4,6-hexamethyl-1,2,3,4-tetrahydronaphthalene (AHTN) と1,3,4,6,7,8-hexahydro- 4,6,6,7,8,8-hexamethylcyclopenta-γ-2-benzopyran (HHCB)のhERαおよびhERβに対するエストロゲンアンタゴニスト活性を確認した。さらに、AHTN とHHCB において酵母に対する増殖阻害も確認した。これらの結果から、AHTN およびHHCB は、ゴムタイヤ式地下鉄駅構内の沈降粉塵試料で確認されたエストロゲンアンタゴニスト活性に、沈降粉塵に存在する量で、十分寄与することを確認した。

 第5 章では、HHCB とAHTN が及ぼす生体影響について、土壌自活線虫C. elegans を用いて急性毒性、成長・成熟影響、繁殖影響および多世代影響の試験を行った。その結果、致死影響が確認されない濃度においても、成長・成熟、繁殖、多世代試験において有意な影響が確認され、両物質は毒性を示さない濃度でも生体へ影響を及ぼすことを明らかにした。

 第6 章では、in vitro 試験でHHCB のラット肝S9 処理試料で親化合物より強いエストロゲンアンタゴニスト活性を示したことから、代謝物中に代謝活性物質の存在が示唆された。そこでHHCBの代謝活性物質の同定と、酵母two-hybrid アッセイによりそのエストロゲン活性の評価を行った。その結果、HHCB のラット肝S9 処理での主たる代謝物は、HHCB-lactone であることを明らかにした。また、そのエストロゲンアンタゴニスト活性は、hERβにおいて親化合物であるHHCB の活性より強いことを示し、HHCB は生体内に取り込まれ代謝されてもエストロゲンアンタゴニスト活性を維持し続けることを明らかにした。

 第7 章では、国内で使用されている日用品からAHTN とHHCB を検出し、両物質が、国内においても存在することを明らかにし、ヒトへの曝露要因のひとつとしてその影響が懸念されることを示した。

 第8章では、第1章から第7章までの総括を行い、結論として多環ムスク類は、新たな環境汚染物質としてヒトの健康リスクに関する詳細な研究を行う必要があることを提言した。

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