2008年8月28日木曜日

米炭疽菌事件幕引き

米炭疽菌事件が幕引きとなった。
米炭疽菌事件はブルース・アイバンスの単独犯として幕引きとなったようだ。
ワシントンの連邦政府機関は郵便物へ放射線照射で殺菌し、怪しい手紙は開封
するようだ。
米国は軍関係者の身元調査しないのだろうか。


---米炭疽菌事件、謎残る幕引き 自殺の研究者単独犯と断定---
2008年8月28日
http://www.asahi.com/health/news/TKY200808270346.html

 01年9月の米同時多発テロ直後に全米を震撼(しんかん)させた炭疽(たんそ)菌事件。司法省は陸軍の研究所に勤めていた研究者の単独犯行と断定したが、容疑者とされた研究者は直前に自殺した。米史上最悪の生物テロは多くの謎を残し、「白い粉」が巻き起こした恐怖はいまも尾を引く。

■物証・動機、決め手なし
 司法省のジェフ・テイラー連邦検事らは今月6日、ワシントンで記者会見し、事件捜査を終えると発表した。「ただ一人の容疑者」とされたのは、メリーランド州フレデリックにある陸軍感染症医学研究所の炭疽菌専門家ブルース・アイバンス博士(62)だ。
 テイラー検事らは、手紙から見つかった炭疽菌がDNA鑑定で博士が管理していたフラスコで保管されていたとわかったことや、事件当時、博士が深夜や週末に不自然な勤務をしていたことを指摘する。犯行に使われた封筒が、博士の自宅周辺の郵便局で01年に売られていた可能性が高いこともわかったという。
 いずれも状況証拠で、決定的な物的証拠がないことは当局も認める。問題のフラスコには博士以外の研究者も近づくことができたし、筆跡鑑定も司法省は「博士が筆跡をわざと変えていたため、比較ができなかった」としている。
 連邦捜査局(FBI)は、いずれの手紙も自宅や研究所から車で3時間以上かかるニュージャージー州プリンストンのポストに投函(とうかん)されたとみているが、すぐ近くに、博士がしきりに接近を試みていた女性研究者が所属する女子学生組織の事務所がある。FBIは、この周辺に土地勘があったため選んだとみている。
 動機もはっきりしない。博士は精神の問題を抱えて治療を受けていたうえ、担当していた炭疽菌の新ワクチン開発が不調だったといい、「開発打ち切りを心配してテロでワクチンの必要性に国民が気づくことをねらったのでは」というのが司法省の説明だ。
 事件当初、博士は捜査に協力、FBIも別の研究者らを捜査対象にしていた。だが05年、最新のDNA鑑定で問題の炭疽菌が博士の勤務先のものと判明し、07年になって博士を容疑者リストに加えた。
 そして最近は、24時間態勢で自宅を監視。2日付ワシントン・ポスト紙によると、7月29日、博士が罪を認める代わりに、当局が起訴の罪状を終身刑相当にとどめる司法取引の打ち合わせが予定されていたが、その約2時間前、自宅で大量の薬物を服用して自殺しているのが見つかった。
 博士はただ一人の実行犯なのか。同紙が14日付で「プリンストンのポストから見つかった毛髪と博士の毛髪は一致しなかった」と報じたほか、生物テロの専門家からは「犯行に使われた炭疽菌は感染性を高めた兵器級のもので、そんなものを博士が一人で作れるのか」との指摘もある。
 FBIは18日に異例の記者会見を開き、「炭疽菌は兵器級ではなく、博士が扱っていた機械だけで作れる」などと説明に追われた。9月半ばの上院司法委員会で、FBIのマラー長官が追及を受ける可能性も出てきた。

■手紙いまも放射線殺菌
 事件から7年近く。いまもワシントンの連邦政府機関では郵便物への警戒が続く。放射線照射で殺菌し、怪しい手紙は開封する。政府機関あての郵便物は公務の文書と見なされ、「信書の秘密よりも安全が優先」というわけだ。
 上院歴史室のドン・リッチーさんの手元に変形したカセットテープがある。出版社が送ってきたが、放射線照射による発熱で溶けたという。
 連邦議会行政監察院(GAO)の報告書によると、ワシントンで放射線照射される郵便物は02年から07年にかけて半減した。電子メールの普及、遅れや破損を避けて一部の官庁が宅配便に切り替えたことなどが理由とされる。
 GAOによると、01年11月~08年4月の照射費用は7470万ドル(約82億円)以上。現在の配達の遅れは2、3日だが、事件直後は最大で3カ月にもなった。破損は毎年100箱(1箱は郵便物約10キロ入り)分ほど起きている。
 公務でも破損が心配で自宅に送ってもらう職員も多いという。リッチーさんは「この態勢をやめるには根拠が必要だから」とあきらめ顔だ。
 郵便業務大手のピツニーボウズは事件直後から郵便物を代わりに受け取ってスキャンし、電子メールなどで送るサービスを政府機関や民間企業向けに提供。好評だという。(フレデリック〈米メリーランド州〉=勝田敏彦)


 <炭疽菌事件> 01年9~11月、致死性の高い炭疽菌の乾燥胞子が入った手紙がニューヨークやフロリダ州ボカラトンのテレビ局や新聞社、ワシントンの上院議員事務所に送られ、郵便局員や病院職員ら5人が死亡、17人に呼吸困難などの感染症状が出た。乾燥胞子が白い粉に見え、「白い粉の恐怖」などと呼ばれた。
 手紙は計7通(うち3通は未特定)とみられているが、コネティカット州オックスフォードで死亡した女性と手紙の関連ははっきりしない。
 9月11日の同時多発テロ直後で、手紙に「アメリカに死を イスラエルに死を アラーは偉大なり」などとあったため、「国外のテロ組織が生物テロを仕掛けてきたのでは」などの見方が広がった。少しでも汚れていたり、差出人名がなかったりする手紙が見つかると、郵便局の閉鎖や住民の避難などが行われ、一時はパニック状態に陥った。

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