2008年9月9日火曜日

米金融システム 世界の中心から外れるのか

米住宅金融に公的資金が投入される。
ファニーメイとフレディマックを国の公的管理下に置き、公的資金による
資本注入するようだ。
ポールソン米財務長官は「2社のどちらかでも破綻(はたん)すれば、世界の
金融市場に大混乱を引き起こす」と言い、「暗黙の政府保証商品」との認識を
放置した責任とリスクを回避する責任があるとした。
米国発の金融危機なら、「世界の金融システムの中心という地位」を失う
との危機感もあるらしい。

金融危機となれば、小手先のバラマキ政策とっても意味がない。
先を見る目がない政策ばかりか。


---住宅金融2社を政府管理に 米国発の連鎖危機防ぐ---
FujiSankei Business i. 2008/9/9
http://www.business-i.jp/news/kinyu-page/news/200809090042a.nwc

 【ワシントン=渡辺浩生】米政府は7日、低所得者向けサブプライム(高金利型)住宅ローン問題で経営が悪化している米政府系住宅金融の連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と、連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の2社を国の公的管理下に置くと発表した。公的資金による資本注入を各1000億ドル(約10兆8000億円)設定し、優先株でまず10億ドル(約1080億円)ずつを政府が受け取る。資金繰りも支援する。
 株価が急落していた2社の再建に政府が直接介入することで国際的な金融危機を阻止するとともに、拡大する金融不安に伴う米景気の一段の悪化を防ぐ。資金注入の規模は最終的に数兆円に達するとみられ、サブプライム問題は米史上最大規模の救済劇に発展した。
 今回の救済策は、米国発の世界的な金融危機を未然に防ぐのが狙い。両社が発行する5兆ドル(約540兆円)超にのぼる債券や住宅ローン担保証券は米内外の多数の金融機関が保有。両社が経営危機に陥れば、損失を世界に拡散させて国際金融市場を混乱に陥れるのは必至なためだ。
 両社は住宅ローン買い取りや債券発行を通じ、米住宅市場への主要な資金供給役を担ってきた。サブプライム問題の深刻化に伴い、ここ数カ月は両社の保有・保証ローンの割合が全体の70%にも上っていた。


---エコナビ2008:米住宅金融に公的資金(その1) 市場が「救済圧力」---
毎日新聞 2008年9月9日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/biz/news/20080909ddm008020065000c.html

<ECONOMIC NAVIGATOR>
 米政府は7日発表した政府系住宅金融2社の救済策で、低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題解決の「切り札」とされていた公的資金の投入を決断した。米国民の負担につながりかねない対策だが、住宅金融会社の資金繰りは楽になるものの、抜本的な経営改善への道筋はついていない。8日の東京市場は株価が反発し、ドルも買い戻されたが、「一時しのぎ」との声も根強い。【斉藤望、ワシントン斉藤信宏】

◇破綻すれば世界が混乱
 「2社のどちらかでも破綻(はたん)すれば、世界の金融市場に大混乱を引き起こす」。ポールソン米財務長官は7日、異例の休日会見で政府系住宅金融会社の連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)への公的資金投入に国民の理解を求めた。
 2社の救済策には優先株を買い取る公的資金投入枠2000億ドルの設定のほか、特別融資や住宅ローン担保証券の購入(50億ドル)も盛り込まれた。サブプライム問題で冷え切っている、住宅ローンの返済を担保にした証券化商品市場のテコ入れも狙ったものだ。
 サブプライム問題が表面化した昨年8月、ブッシュ米大統領は「国民の税金は一切使わない」と公的資金投入に消極的だったが、2社の経営を不安視する市場が大統領を方針転換に追いつめた。
 2社が保証・保有する住宅ローン残高は5兆ドル(約540兆円)超と日本の国内総生産(GDP)にほぼ匹敵する。さらに2社が発行した債券1兆6000億ドルの大半は各国中央銀行や金融機関が保有し、「米政府が暗黙に保証している」とみなされている。日本の金融機関も3月末時点で3大銀行などが総額15兆円超を保有し、2社が破綻すれば、巨額損失を抱えることになりかねなかった。
 米財務省幹部は市場の不安感を鎮めようと、8月下旬に日本や中南米、アジアなどを回って機関投資家と相次いで会合を持ち、住宅金融2社の発行する債券の安全性を説いて回った。だが、サブプライム損失の拡大が見込まれる米金融大手の6~8月期決算発表を目前に控え、その一角であるリーマン・ブラザーズの株価が急落。米財務省の思惑とは裏腹に市場は不安定さを増し、米政府が公的資金投入を決断しなければ一気に危機に陥りかねない状況になっていた。

◇「小出し」効果は限定的
 米政府が公的資金投入に乗り出したことに対し、市場では意外感が漂う。米政府は7月、公的資金も投入できる救済策の枠組みを示していたが、「11月の大統領選の前に国民に不人気な政策に手をつけられるとは思っていなかった」(野村証券金融経済研究所の木内登英氏)ためだ。日本経団連の御手洗冨士夫会長は8日の会見で「金融不安が起きることはなくなった」と評価した。
 だが、米政府はようやく重い腰を上げたものの、投入枠として設定した2000億ドルのうち実際に投入を決めたのは20億ドルと1%に過ぎず、「小出し」の感は否めない。しかも投入は政府系住宅金融2社に限られ、サブプライム問題で巨額損失を抱えた民間金融機関は対象外だ。日興シティグループ証券の野崎浩成氏は「金融危機が全面的に終結するとはとても言えない」と指摘する。
 8日は東京市場のほかアジア、欧州市場でも株価が上昇、外国為替市場もドル高となったが、みずほ証券の上野泰也氏は「(救済策は)公的資金の消極的な活用にとどまり、金融不安の一掃にはつながらない。投入効果は数日内に薄れる可能性もある」と警戒する。
 また、「半官半民の2社の肥大化がリスクを過度に集中させた」との批判を受けて、米政府は2社の資産規模を10年以降、段階的に削減し、最終的には現在の約3分の1の2500億ドル程度に圧縮する方針だ。
 だが、ポールソン長官は「次の政権が2社の役割を決めなければならない」と述べており、経営の抜本改革は11月の大統領選で決まる次期政権に「負の遺産」として先送りされそうだ。

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■ことば
◇ファニーメイとフレディマック
 民間金融機関に住宅ローンの貸し出しを促し、米国民の住宅取得を後押しすることを目的とした政府系機関として、ファニーメイが1938年に設立された。フレディマックは70年設立。2社とも住宅市場に資金が流れやすくする役割を担い、債券発行で調達した資金で民間金融機関から住宅ローン債権を買い取り、証券化して投資家に販売している。


---エコナビ2008:米住宅金融に公的資金(その2止) 住専処理と対照的---
毎日新聞 2008年9月9日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/biz/news/20080909ddm008020077000c.html

<ECONOMIC NAVIGATOR>
◇表面化1年余、迅速決定
 米政府による政府系住宅金融会社2社の救済決定は、バブルに踊った金融会社を税金で救済することの是非が問われた日本の住宅金融専門会社(住専)処理を思い起こさせる。ただ、住専に始まった日本の不良債権処理が、公的資金投入への国民の猛反発と政治問題化を招いて長期化したのに対し、米国のファニーメイとフレディマック救済は、金融不安が表面化してから1年余りと短期の決定だった。「住専処理の失敗も教訓に議会対策などを用意周到に進めたのではないか」(国際金融筋)との見方もある。
 「公的資金投入が日本のように政治的に泥沼化せず良かった」--。日本の財務省幹部は8日こう述べ、95年12月の日本の住専処理と比較した。不動産バブルの崩壊で損失総額が6兆円以上に達した住専問題で当局はまず、住専と親密な関係にあった大手銀行や地銀、農林系金融機関に債権放棄を求めた。しかし、損失は埋めきれず、6850億円の公的資金が投入された。
 当時、大蔵省(現財務省)と農林水産省が水面下で処理を進めたため、国民の批判が噴出。その後の大手行に対する公的資金投入が難航し、バブル崩壊から危機の収束までに10年以上を費やした。
 対照的に、米政府は昨夏のサブプライム問題発覚後1年余りでファニーメイとフレディマックへの公的資金投入を決断した。背景には「2社が米住宅ローン市場の半分近い約5兆ドル(約540兆円)を支え、市場や経済への影響がそれだけ深刻だった」(米投資会社)ことがある。「住宅金融専門会社」とは言いながら、借り手のほとんどがゴルフ場やホテルなど住宅とは無縁の不動産開発を手がけた日本と違い、米国の2社は国民の住宅ローンに直結していたため、公的資金を投入しやすい面もありそうだ。
 これで米国の金融危機が完全に収束するわけではないだろうが、金融庁幹部は「大統領選挙が大詰めを迎える前に公的資金投入にこぎつけたことは、市場の安定化に役立つのでは」と期待している。【永井大介】


---米政府 強い意思表示 住宅金融2社救済---
2008年9月9日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/mnews/20080909mh03.htm

優先株買い取り 巨額設定
 米政府は7日、政府系住宅金融2社に対し、公的資金による優先株の買い取り枠設定を柱とした救済策を発表した。巨額の税金投入にもつながりかねない思い切った救済策に踏み切ったのは、米国発の世界的な金融危機を避けようという米政府の強い決意の表れだ。市場はとりあえず好感したが、まだ枠組みを示したに過ぎず、真の評価はこれからと言える。(ワシントン 矢田俊彦)

◇最大2000億ドル
 「米経済は住宅市場が改善するまで回復しない。住宅問題を克服するには2社(の安定)が重要だ」。ポールソン米財務長官は7日の緊急記者会見で、連邦住宅抵当公庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)救済の必要性を訴えた。
 最大の柱は、米政府が2社の経営者を指名して公的管理下に置いたうえで、現行法の期限が切れる2009年末までの措置として、合計で最大2000億ドル(約21兆6000億円)まで優先株を公的資金で買い取る用意をととのえたことだ。
 米議会予算局が7月に「必要な公的資金」として見積もった金額は、最大250億ドル。買い取り枠はその8倍に及ぶ。2社支援に対する米政府の決意の強さを物語る。
 一方、「実際の注入額はもっと少ないだろう」(米大手証券ゴールドマン・サックス)との見方も多い。米政府には、巨額の支出を可能にすることで市場を安心させる狙いもあるようだ。
 実際の公的資金の注入は、2社の四半期決算などを見ながら段階的に行う。臨機応変に対応することで「一回きりの資本注入より効果的」(ポールソン長官)と判断した。
 注入の判断を任されるポールソン長官は、米大手証券ゴールドマン・サックス出身で金融市場に精通している。しかし、長官が来年の新政権発足とともに退任すれば、新政権が今回の仕組みをどこまでうまく使えるかという課題も残る。

◇一石二鳥
 また、米政府は、9月中にも2社が発行する住宅ローン担保証券を50億ドル(約5400億円)分買い取る。その分だけ2社の資金繰りを支援することになる。
 さらに、住宅ローンを担保とした証券を政府が買い上げることで、一般の金融機関に新たな住宅ローンの供給を促す働きを期待している。住宅ローンの利率を低く抑える効果も見込んでいる。米政府は、これらが一体的に作用すれば、低迷する米住宅市場の活性化につながると見ている。
 今回、救済が決まった2社は、米住宅ローンの約半分にあたる5兆ドル(約530兆円)を保有、または保証している。さらに、2社が発行する債券などは、日本など外国の投資家が約1兆3000億ドル(約140兆円)も保有している。仮に2社が破たんすれば、世界中に損失がばらまかれることになり、世界的な金融危機に発展しかねない。
 米政府は2社の公的管理に踏み切った背景として、世界の中央銀行や投資家が、2社が発行する債券などを「暗黙の政府保証商品」であると受け止めてきた認識を、長い間放置してきた責任を認めた。そのうえで、米国には、世界的に広がるリスクを回避する責任があると指摘した。もし米国発の金融危機ともなれば、世界の金融システムの中心という地位を失いかねないとの危機感も読み取れる。

G7各国 歓迎の意向
 先進7か国(G7)の財務相は8日夜、ポールソン米財務長官の呼びかけで緊急の電話会談を行った。米側から政府系住宅金融2社の救済策について説明があり、各国は相次いで米政府の措置を歓迎する意向を示した。伊吹財務相は「金融市場の安定化に資するものとして歓迎する」と述べた。

米政府系住宅金融2社をめぐる最近の動き(いずれも2008年)
 7月11日 経営不安説から株価下落
 7月13日 ポールソン財務長官が2社への公的資金投入を含む支援策を表明
 7月15日 米証券取引委員会(SEC)が空売り規制を発表
 7月30日 公的資金投入を可能としたサブプライムローン対策法が成立
 8月6日 フレディマックが4~6月期決算で8億2100万ドルの赤字を発表
 8月8日 ファニーメイが4~6月期決算で23億ドルの赤字を発表
 9月7日 ポールソン長官が2社を公的管理下に置いて公的資金注入枠を設定した救済策を発表
米政府が発表した住宅金融2社の救済策骨子
 ▽2社を公的管理下に置き、経営者を刷新
 ▽公的資金による優先株の買い取り枠計2000億ドルを設定
 ▽2社が発行する住宅ローン担保証券を政府が9月中にも50億ドル分購入
 ▽政府が必要に応じて融資して資金繰りを支援


---金融2社救済 不安解消 効果は限定的 米政府 民間対応には慎重---
2008年9月9日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2008090902000114.html

 八日の東京金融市場では、米政府による政府系住宅金融会社二社の救済策発表を受け、株式が大幅上昇するとともに、一気に円安ドル高が進んだ。だが、市場ではこれで米国の金融不安が解消するとの見方は少なく、「株高、ドル高への効果は限定的」(大手証券アナリスト)との見方が支配的だ。 (池尾伸一)
 今回の救済策に対し、日本の金融機関からは安堵(あんど)の声が聞かれた。野放図に住宅ローンの信用供与をしてきた米国の住宅金融会社だが、政府系であることから、日本の銀行なども「暗黙の政府保証がついている」と受け止め、大量に保有してきたからだ。
 国内大手六銀行グループでは、三月末時点で二社以外の住宅金融会社も含めた関連債券を、三菱UFJフィナンシャル・グループが三兆三千億円持っているのをはじめ、みずほフィナンシャルグループも一兆二千億円保有。ほかの四行を合わせた保有残高は五兆六千億円に上っていた。
 仮に二社の破たんで関連債券が焦げ付いた場合は、日本の金融システムも揺らぎかねなかった。
 ただ、救済策で米国金融市場が正常に戻るかには疑問の声が多い。
 米国では住宅価格が下げ続ける中で、サブプライムローン関連金融商品を大量に所有する米国の民間の銀行や証券会社の不良債権問題は依然、解消のめどが立っていない。米政府は民間銀行への公的資金投入には慎重姿勢を崩しておらず、市場では金融不安やドル不安はくすぶり続ける。
 米国では八月の失業率が6・1%に急上昇するなど景気の悪化も顕著になり、市場では「世界的な景気悪化の流れは変わらず、ドル高、株高は一時的なものに終わる可能性が高い」(みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト)との見方が出ている。

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