2010年7月23日金曜日

金融規制改革法案 米大統領署名

金融規制改革法案が米大統領の署名した。
 米ホワイトハウスは、オバマ大統領が金融行政を抜本的に見直す金融規制
改革法案に署名、同法を成立させる予定だと発表した。
 金融危機の再発防止を目指す2300ページに及ぶ同法は、ウォール街の巨大
金融機関や金融市場を徹底監視し、独立機関を創設して消費者保護を強化す
るのが特徴だ。法案は議会で可決、大統領に送付された。

規制されたことに米商工会議所が大統領への公開書簡を出したり、米経済界
から批判があがっている。

経営者からの大口献金がなくなる可能性もあり、民主党にとっては痛手と
なるかもしれない。
金融機関の破綻も容認されるらしいので、評判により取付け騒ぎがまた、
起こりそうだ。

金融規制改革案


Financial Reform Bill Ready for President to Sign into Law


Republican Address: Obama Hypocrisy The Associated Press


News Update: Goldman, Citigroup May Have Over 10 Years to Comply With Rules Curbing Hedge Fund SmarTrend News


Obama Hails Passage of Financial Reform The Associated Press

Obama Signs Financial Reform Into Law


Gerald Celente: 'This isn't reform, its depression'


---オバマ米大統領が金融規制改革法案に署名、同法が成立---
2010年 07月 22日 10:11 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-16388120100722

 [ワシントン 21日 ロイター] オバマ米大統領は21日、金融規制改革法案に署名し、同法は成立した。有力業界団体はこの新たな法律を相次いで批判し、オバマ大統領と米実業界との緊張した関係を浮き彫りにした。
 ただ、ウォール街では同法により透明感が高まったことを歓迎する声も聞かれた。
 前週、上院の最終承認を得た同法は、2007―09年の世界的な金融危機につながった金融機関のリスク取引を規制し、消費者保護の強化を目指す。
 大統領は、ウォール街の一部の銀行家や財界首脳らが参列した署名式で「この法律により、米国民は金融機関の過ちのために負担を強いられることは二度とない。納税者負担による銀行救済は二度と起きない」と強調。
 同法は「銀行家から農業従事者、企業経営者まですべての人々」に確実性を提供するとし、「あなた方のビジネスモデルが手を抜くことや顧客を欺くことに依存しているのでなければ、この改革で恐れることは何もない」と語った。
 オバマ大統領の経済政策をしばしば批判してきた有力業界団体の米商工会議所はこの法律について、逆の効果があると指摘。
 商工会議所のトーマス・ドノヒュー会頭は「そのような広範囲にわたる包括的な法案は、米国のビジネスに一段の不透明感をもたらすことになる意図しない結果を伴う法律の典型だ」と語った。
 米銀行協会(ABA)も同法に対する失望感を表明。同法は「そもそも金融危機の原因とまったく関係のない従来の銀行への多くの新規則を盛り込んでいる」と指摘した。
 一方、米商品先物取引委員会(CFTC)のバート・チルトン委員は、金融規制改革法による影響のほとんどは同法がどのように実行されるかに左右されると指摘。同法は透明性を高め、規制当局に市場の規制に向けたより良いツールを与えるとの見解を示した。ただ、多くの問題が解決されないままだとも述べた。
 「これは多くの面を持つ広範囲にわたる法案で、規制当局がさらに肉付けしなければならない部分がまだ多くある。いつ、どのようにそれを行うのかという問題が、実際にこの法律が支持者の期待に沿うものかどうかを明らかにするだろう」と語った。
 21日に発表した第2・四半期決算が市場予想を上回ったモルガン・スタンレー(MS.N: 株価, 企業情報, レポート)のルース・ポラット最高財務責任者(CFO)は、法案が署名されたことについて、ある程度の透明性を提供するとして歓迎する姿勢を示した。


---米ゴールドマンがロビー活動費を倍増-金融規制改革やSECの提訴で---
更新日時: 2010/07/22 06:49 JST
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920008&sid=a6h5LvMW_znw

 7月21日(ブルームバーグ):米ゴールドマン・サックス・グループは、2010年1-6月(上期)にロビー活動費を倍増させた。議会での金融規制改革法案の審議や米証券取引委員会(SEC)による提訴への対応が背景にある。
 新たな議会資料によると、ゴールドマンのロビー活動費は270万ドル(約2億3500万円)と、前年同期の130万ドルの2倍強に上った。ゴールドマンは、投資家を欺いたとして同社を提訴したSECと先週和解合意し、5億5000万ドルの支払いに同意している。
 ほかの金融機関も今年は、大恐慌後で最も大幅な金融規制改革が議会承認されるのをにらみ、ロビー活動費を増やした。改革法案は21日にオバマ大統領が署名して成立した。米銀上位10行のうち6行は上期のロビー活動費が前年同期を上回ったと報告した。
 バンク・オブ・アメリカ(BOA)は200万ドルと、前年同期の150万ドルから33%増加。ウェルズ・ファーゴは230万ドル(前年同期140万ドル)に増額。モルガン・スタンレーは160万ドル(同140万ドル)。


---米金融規制改革法が成立、世界の市場に影響---
2010年7月22日01時00分 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20100722-OYT1T00096.htm

 【ワシントン=岡田章裕】1930年代以来の抜本改革となる米国の金融監督・規制改革法は、オバマ米大統領が21日午前(日本時間22日未明)、法案に署名して成立した。
 米金融機関は、これまでの利益優先の経営手法の大幅な見直しを迫られることになり、世界の金融市場や規制改革の動向にも大きな影響を与えそうだ。オバマ大統領は「この改革は経済を上向かせ、我々をより力強く繁栄する未来に導くだろう」と述べ、法案成立の意義を強調した。
 改革法は、2008年秋の世界を揺るがした金融危機の再発を防止するため、銀行以外も含めた主要金融機関の監督権限は米連邦準備制度理事会(FRB)に集約し、混乱なく破綻(はたん)処理するための法制度も整えた。金融機関の高リスク取引も抑制して、危機の未然防止も徹底する。
 ただ、規制の細部についてはこれから決めることになり、積み残しの課題も残っている。米規制当局は、改革法の成立を受けて膨大な細則の策定に力を注ぐことになるが、今後は規制の具体的な内容が大きな焦点となる。


---銀行規制の議論、現実とかけ離れてはいけない=全銀協---
2010年 07月 20日 17:20 JST
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-16357420100720

 [東京 20日 ロイター] 全国銀行協会の奥正之会長(三井住友銀行頭取)は20日の定例会見で、バーゼル銀行監督委員会の新たな銀行規制などをめぐる国際議論について、現実とかけ離れてはいけないと主張した。
 リーマン・ショック後の金融危機が生じたことは事実として反省し「どのように再発を防ぎ、(危機が)起きた場合にどのように破たん処理するかを議論するのは当たり前」と指摘したが「それが現実の問題とあまりかけ離れた議論になってはいけない」と述べた。
 米金融規制改革は「邦銀にすぐ影響があるとは思わない。当初の案よりかなり緩和された現実味のある形になってきているとは思う。良く検証する必要がある」と話した。足元の欧州市場は「一応落ち着いている。各国が財政の緊縮財政を組むことによる先行き景気不安と、(23日発表予定の欧州金融機関の)ストレステストの結果を見極めたい気分がある」としたが、流動性に問題はないとの見方を示した。
 日銀の成長分野に関する新貸出制度は「資金供給のレートが安く、期間が長くできるというインセンティブがある。(成長の)呼び水としていかに使っていくか。各銀行それぞれが創意工夫を重ねて努力していくことだと思う」と述べ、「本来の融資のあるべき姿を追求しつつ、日本の成長につなげていかないといけない」とした。
 一方、郵政改革法案にも言及。参院選で与党が大敗したことを受け「今後の国会において、議論を深めていただきたい。選挙結果を踏まえ(法案の)内容について、われわれが従来から主張している線に戻していくことを望んでいる」と注文した。郵政改革をめぐって全銀協は、日本郵政グループに対する政府出資が残ったまま郵貯の預入額上限を引き上げる政府方針に対し、民業圧迫になると反対している。
 足元のマクロ経済動向は「アジアの成長にけん引された外需が日本の景気を引っ張っている」と指摘。「緩やかだが、景気回復の初期段階が続いていると思っている。リスクファクターは当然あるが、1―3月、4―6月と成長を続けている。しばらく、緩慢な成長が続くのではないか」との見方を示した。


---「オバマ政権はアンチビジネスだ!」米経済界で不満噴出---
2010.7.18 21:00
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/100718/fnc1007182101003-n1.htm

 【ワシントン=渡辺浩生】医療保険改革法や金融規制改革法案などオバマ政権が次々に打ち出す政策に対し、米経済界から、企業負担を増やす「アンチビジネス」だという不満が噴出している。米商工会議所が「雇用創出という最優先事項を無視している」との書簡を出すなど対立する動きも拡大。中間選挙を控え関係悪化を避けたいホワイトハウスは対応に苦慮している。
 米商工会議所が大統領への公開書簡を出したのは14日。増税や規制強化で「産業界を傷つけている」とした上で、「先行き不安感は経済成長や投資、雇用の敵だが、政府と議会多数派(民主党)は企業の経営判断に多大な不安感を与えている」と攻撃した。
 エマニュエル大統領首席補佐官らは同日、素早く書簡を返信。「われわれは正しい方向に向かっている」とした上で、政府と経済界は雇用回復の目標を共有し「対立することはできない」と火消しに回った。
 先月中旬には、通信大手ベライゾン・コミュニケーションズのセイデンバーグ最高経営責任者(CEO)が「政府とビジネス界の分断された関係に悩まされている」と述べ、政治不信が投資や雇用を妨げていると強調。同氏は大統領選でオバマ氏を支持しており、その発言は反響を呼んだ。
 オバマ政権は医療保険改革法を今春に実現。金融規制改革法案も近く成立するほか、温暖化対策法案への意欲も捨てていない。大統領の手腕を評価する声もあるが、企業にすれば、医療費やエネルギーコストなど「負担を増やす事実上の増税」(米商工会議所)だ。
 さらに金融危機の発信源となったウォール街や、原油流出事故を起こした英メジャー(国際石油資本)BPを舌鋒(ぜつぽう)鋭く批判する大統領の姿勢が「アンチビジネス」の印象を強めている。
 米企業は利益を設備投資や雇用に回さず、3月末時点で1・8兆ドル(約155兆円)と過去最大規模の現金をため込んでおり、保守系シンクタンク、ヘリテージ財団のシャーク研究員は「将来の増税や規制強化を見極めようと様子見の姿勢になっているためだ」と指摘する。
 もちろん「経営判断は経済情勢に基づいて行われるもので、大統領の好き嫌いとは関係ない」(スタンフォード大経営大学院のフェファー教授)との擁護論もあるが、民主党の資金集めが低調な中、「オバマ対大企業」(米紙ワシントン・ポスト)という図式は避けたいところで、政権は対話促進の糸口を探っている。


---21日に米金融改革法が成立 オバマ大統領が署名---
2010.7.17 10:24
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/100717/fnc1007171028009-n1.htm

 米ホワイトハウスは16日、オバマ大統領が金融行政を抜本的に見直す金融規制改革法案に21日に署名、同法を成立させる予定だと発表した。
 金融危機の再発防止を目指す2300ページに及ぶ同法は、ウォール街の巨大金融機関や金融市場を徹底監視し、独立機関を創設して消費者保護を強化するのが特徴だ。法案は15日に議会で可決、大統領に送付された。
 法律成立後半年から1年程度をかけて、新組織を設立したりトップの人選を行う。金融当局は具体的な規制・監督指針の策定などの対応を急ピッチで進める方針だ。(共同)


---「大手金融機関の破綻容認」に懸念 米金融規制改革法案---
2010.7.17 01:31
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/100717/fnc1007170132005-n1.htm

 米上院が15日可決した金融規制改革法案に対し、日本の民間エコノミストは金融危機の再発防止策として一定の評価を示しながらも、大手金融機関の破綻を容認したことには懐疑的な見方も出ている。
 みずほ総合研究所の小野亮シニアエコノミストは「金融危機の引き金になった(多額の資金を借りて投資する)レバレッジ取引などにブレーキがかかることは大きな一歩」と評価。シティグループ証券の野崎浩成マネジングディレクターは「一定の範囲内で自己勘定投資を認めるなど原案よりマイルド。金融界に甘くなったというよりは、より現実的な対応になった」とみる。
 日本の金融界への影響について野崎氏は「レバレッジ規制の点などで全く無視はできないが、邦銀のビジネスモデルは伝統的な銀行業が中心で影響は限定的」と分析する。
 一方で法案は、公的資金で大手金融機関を救済しないことを明記。税金で救済された金融機関の幹部が、高額報酬を得ていたことに対する国民の不満に応えたものだが、野崎氏は「金融不安が増大する中で破綻を容認するのは危機時の実効性で疑問が残る」と懸念した。


---金融規制改革法 逆風の中の金字塔---
2010.7.17 01:24
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/100717/fnc1007170126003-n1.htm

 【ワシントン=渡辺浩生】米上院は15日、1930年代以来の抜本的改革となる金融規制改革法案を賛成多数で可決した。法案はすでに下院を通過しており、近くオバマ大統領の署名を経て成立する。金融危機の再発防止のため、大規模金融機関の監督強化や高リスク取引の制限などを柱とし、金融界の今後の収益モデルや国際的な金融規制にも影響を与える内容。オバマ大統領にとっては内政上の大きな勝利となったが、金融危機再発を阻止し、経済の安定に貢献できるかどうかは、当局者の強い決意と規制の運用に委ねられている。
 金融規制改革法案は、作成を主導した民主党のドッド上院銀行委員会委員長、フランク下院金融サービス委員長の名前をとって「ドッド・フランク法」と呼ばれる。1930年代に銀行と証券の業務を分離した「グラス・スティーガル法」以来の大改革となる。
 「われわれの金融システムのある種の防護となる機会をつくったにすぎない」。ドッド委員長は15日、控えめに成果を語った。
 1年の審議を経て上下両院を通過した法案は、大規模金融機関の無秩序な破綻(はたん)が経営危機の連鎖と巨額の税金救済を招いた先の金融危機の教訓を最大限に生かすことに神経が注がれた。
 システミックリスク(連鎖破綻)の芽を早期に摘み取り、危機に陥った大手金融機関の処理に解体の権限を当局に付与。「新たなリーマン・ブラザーズもアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)もない」とオバマ大統領は宣言した。
 2300ページに及ぶ法案は、銀行の自己勘定による高リスク取引を制限する「ボルカールール」、デリバティブ市場の規制、住宅ローンなど金融商品の消費者保護など、投資銀行のトレーダーから地域金融機関のローン業務まで、金融界に広範囲な規制の網をかぶせるのが特徴だ。
 「ビジネスの大部分に変化を迫る」(米紙ウォールストリート・ジャーナル)ことになり、「収益への影響は避けられない」とウォール街の経営トップも悲鳴を上げている。
 ただ、具体的なルールの作成と運用は、財務省、連邦準備制度理事会(FRB)、証券取引委員会(SEC)、商品先物取引委員会(CFTC)など業態ごとに分かれた各金融当局に委ねられていて、金融界のロビー活動はさらに活発化する見通しで取引制限は骨抜きになる可能性も指摘される。
 しかし、「大恐慌以来の経済危機に導いた金融界のゆるんだ規制の時代に戻るわけにはいかない」と政府高官は話す。
 雇用情勢が改善せず、自らの経済政策運営に対する支持が不支持を下回る逆風の中で、金字塔を打ち立てたオバマ大統領だが、次の金融危機を防ぐに足る法律か否かは専門家の意見が分かれている。国際的な規制の本格的な調整もこれからだ。「プロセスの終わりではなく、始まり」(ガイトナー財務長官)であり、改革の正念場はこれからだ。


---米金融規制法案成立へ---
2010年7月17日(土)「しんぶん赤旗」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-07-17/2010071701_03_1.html

上院が可決 緩和路線を転換
 【ワシントン=小林俊哉】米上院は15日、金融危機の再発防止と消費者・納税者保護を目指す金融規制改革法案を賛成60、反対39で可決しました。下院でも可決済みで、オバマ大統領の署名を経て近日中に成立します。金融規制緩和を推進してきた米国にとって、大きな転換となります。
 同法案は、大手金融機関に対する監督を強化し、財務長官を責任者とする協議会によって金融システム全体を監視することで、金融危機の再発防止を目指します。また、金融派生商品などリスクの高い商品取引にも規制を強化します。
 金融機関の破たんに際しては、当局による新しい清算処理に従うことで、公的資金による救済は行わないとしています。
 また、連邦準備制度理事会(FRB)内に消費者保護を担当する専門部署を設け、クレジットカードによる高利被害や、金融危機の背景となったサブプライム(低信用層向け高金利型)住宅ローンによる被害などへの規制を目指します。
 オバマ米大統領は、規制強化を内政の重要課題にしてきました。一方、米金融業界は、激しいロビー活動を展開し、野党・共和党を中心に反対世論の喚起に奔走しました。それでも、共和党から3人の上院議員が賛成に回りました。
 オバマ大統領は同日、ホワイトハウス内で声明を発表し、同法案の成立によって、消費者保護、ウォール街による投機の抑制、税金を投入しない金融破たん処理など目標が達成されると強調しました。

解説
米金融規制改革
高リスク投資を制限
 米上院が15日可決した金融規制改革法案は、一時もてはやされた「金融自由化」の流れを転換し、過度のリスクをとる投資活動に制限を加えるものです。
 それを象徴的に示しているのが「ボルカールール」です。オバマ政権の経済諮問会議を率いるボルカー元連邦準備制度理事会(FRB)議長の名前からとっているもので、「預金保護と流動性の提供という商業銀行の必須業務のために『セーフティーネット』を提供し、公共的利益を保全する」(2月2日、上院銀行住宅都市委員会公聴会でボルカー氏)というのが基本精神で、顧客サービスから離れた投資活動への規制が内容でした。
 これには金融界から根強い抵抗があり、その意を受けた共和党議員の反対もあり、修正を重ねましたが、基本線は貫かれました。ヘッジファンドなどへの投資は完全規制にはならなかったものの、「銀行の中核的資本の3%を上限」とするとしました。顧客注文に基づかない銀行による自己勘定取引も規制されます。
 金融危機を誘発したデリバティブ(金融派生商品)取引に関する規制もすすめ、一部残したものも「透明性の確保」を条件とし、最もリスクが高い分野は銀行本体から切り離すこととしました。
 これまで大手銀行は「大きすぎてつぶせない」と経営破たんしても救済され、それが失敗を改めず、さらなるリスクをとる経営幹部の道徳的節度の欠如(モラルハザード)を生むことも指摘されていました。今回の改革は、こうした問題への対処も考慮されたものです。
 米国では1999年に、商業銀行業務と投資銀行業務の機能分離を定めていた「グラス・スティーガル法」が廃止され、規制緩和につながりました。クリントン政権末期のこの緩和によって、続くブッシュ政権下では、投機マネーの暴走が野放しにされました。
 2008年9月の証券大手リーマン・ブラザーズの破たんを機に表面化した米国発の金融危機は、世界中を揺るがしました。「米国型資本主義と米国金融覇権の終えんの始まり」との指摘もあり、09年1月に発足したオバマ政権にとっても、再発防止のための金融規制改革は最重要課題の一つになっていました。(ワシントン=西村央)


---ウォール街、第1幕は敗北 金融改革法案可決、ルール作りで駆け引きへ---
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/100717/mcb1007170505013-n1.htm

 大恐慌以後で最も抜本的にウォール街(米金融街)の規制の在り方を変える金融規制改革法案が15日、米上院で可決され、成立する運びとなった。金融業界の注目は、金融規制改革法を実際に施行する規則の制定に責任を持つ各監督機関の動向に移りそうだ。
 上院本会議は賛成60、反対39の賛成多数で可決。消費者と投資家の保護をめぐって続いていた党派間の争いに終止符が打たれた。法案はリーマン・ブラザーズやワシントン・ミューチュアルの破綻(はたん)を招き、7000億ドル(約61兆1000億円)規模の金融安定化資金によるアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)やシティグループの救済につながった金融危機の再発防止を目指す。
 オバマ大統領はホワイトハウスで15日、同法案には「これまでで最も強力な金融分野での消費者保護」が盛り込まれているとした上で、「米国民が、ウォール街の間違いのつけを払うよう求められることは二度とないだろう」と指摘した。
 15日の上院可決を受けて、法案はオバマ大統領の元に送られた。来週行われるとみられる大統領の署名が終われば、ルールづくりに業界の意向を少しでも反映させようとする新たな駆け引きが始まる公算が大きい。
 米銀行協会(ABA)のプレジデント、エドワード・イングリング氏は15日、業界団体として法案の可決に失望の意を表明。同氏は発表文で「金融規制改革法の施行では監督当局の手腕が問われる。規制プロセスのできるだけ効果的かつ効率的な実行を確実なものとするために必要な情報が得られるよう、監督当局と協力する用意がある」との立場を明らかにした。
 法案取りまとめに携わった上院銀行委員会のドッド委員長(民主、コネティカット州)は15日の記者会見で、規則制定の過程でウォール街のロビイストが法案の条項の効力を弱めることに成功する「可能性は常に存在する」と説明。新たな規則をどのように実施する考えかについて、議会として監督機関に説明を求める予定だと語った。
 2300ページにわたる金融規制革法案には、破綻した場合に市場が著しく動揺しかねない金融機関の整理メカニズムのほか、経済システム全体に対する脅威について企業を監視する金融安定監視協議会(FSOC)、連邦準備制度理事会(FRB)の下に置かれる消費者保護局の創設が盛り込まれている。一部の条項は、監督機関による研究や解釈が終わるのに数年かかる可能性もある。(ブルームバーグ Alison Vekshin)


---米金融規制改革法案の概要---
2010年 7月 16日 17:27 JST
http://jp.wsj.com/US/node_83075

米議員は金融規制改革法案の最終的な内容で合意した。金融規制の抜本的な見直しは、1930年代以来となる。

政府権限が拡大
接収・清算権限: 破綻(はたん)すれば広範囲に打撃を及ぼし得る、経営危機に陥った金融機関の経営権掌握、もしくは解体の権限を連邦規制当局に与える。連邦預金保険公社(FDIC)が実行する破綻処理策を当局は策定する。財務省は前払いコストに充てるための資金を提供し得るが、政府は返済計画の策定が必要。規制当局は資産500億ドル超を保有する金融機関に対する手数料を算定することで、損失を埋め合わせ得る。

金融安定化監督評議会: 金融の安定を脅かすリスクを監視・対処するための10人編成の金融安定化監督評議会を設立する。金融システムに脅威を及ぼすと判断される大規模、かつ複雑な業務を行う金融機関に、より厳格な規則を適用するよう、連邦準備理事会(FRB)に推奨が可能。究極的なケースでは、評議会が金融機関を解体する権限を持つ場合がある。

FRB: 金融危機時にFRBが実施した緊急融資について、1度限りの監査を認める。FRBは銀行に対する融資の詳細を、2年の遅延をもって開示し得る。12地区連銀の総裁選任時の銀行の役割を排除する。また、FRBの緊急時の融資権限も制限する。

監督面の変更: 貯蓄機関監督庁(OTS)を廃止し、通貨監督庁(OCC)が役割を継承する。

大手金融機関の監督強化

ボルカー・ルール: 大手金融機関の自己勘定取引を概して禁止する。資本の3%以下でのヘッジファンドやプライベートエクイティ・ファンドへの投資は可能。

デリバティブ: 店頭デリバティブ市場に対する包括的規制を初めて設ける。デリバティブ商品の取引や、デリバティブ商品を販売する企業も規制の対象となる。多くの通常のデリバティブについては取引所、あるいは類似する電子プラットフォームでの取引と、クリアリングハウスでの清算を求める。
 カスタマイズされたスワップについては引き続き、店頭市場での取引が容認される可能性があるが、規制当局が取引を把握できるよう、中央管理機関への報告が義務付けられる見通しだ。デリバティブを扱う企業に対しては、資本、マージン、報告、記録の保管、事業慣行などに関する新たな規則が適用される可能性がある。

デリバティブ事業の分離: 銀行に対し、リスクの最も大きいデリバティブ取引事業のみ、別会社に委譲することを容認する見通し。

銀行資本: 大手銀行持ち株会社のトラスト型優先証券の使用を禁じるなど、より厳格な資本規制を導入する。

TARPの終了: 7000億ドルの不良資産救済プログラム(TARP)の早期終了により、新規制導入に伴うコストの不足を賄う。TARPの残りの資金を用いて財務省が新規プログラムを実施することを禁じる。

銀行口座・クレジットカードを保有する消費者への影響

消費者金融保護局: FRBに消費者金融保護局を新設。住宅ローンなどに関する規制に関して権限を持つ。資産100億ドル超の銀行とクレジット・ユニオン、またノンバンクなどが監督の対象だが、自動車ディーラーは除外される。

先取特権: 複数の州で業務を行う銀行に対し、連邦政府の基準よりも厳格な消費者保護法の適用を州政府に認める。消費者金融保護局が策定する一部規則を施行する権限を州司法長官に与える。

預金保険: 銀行と貯蓄金融機関、クレジット・ユニオンに対する預金保険の上限を25万ドルとし、2008年1月1日にさかのぼって実施する。

住宅ローン: 住宅ローンの貸し手は、借り手の収入、信用履歴、職業の属性などを調べ、借り手にローンを返済能力があることを確認することを初めて求められる。

投資家の保護

投資アドバイス:投資アドバイスを与えるブローカー・ディーラーの資格基準を引き上げる権限を証券取引委員会(SEC)に与える。

証券化: 証券化業務を行う銀行に対し、クレジットリスクの5%を自行のバランスシートに残すよう求める。一定の最低基準を満たすリスクの低い住宅ローンは対象外となる見通し。

信用格付け会社: 利害相反に対処するよう設計された準政府機関の設立などで、格付け業界の改革を狙う。SECはこの種の機関の設立に向けた調査を行う。格付け会社の過失に対する投資家の訴訟を容認する。格付け会社に罰金を科す権限を持つ監督部局をSECに設立する。さらにSECに対し、長期間に正当とみなされない格付けを多数行った企業の登録を抹消する権限を付与する。

企業統治: 上場企業の株主に対し、幹部報酬や「ゴールデン・パラシュート(敵対的買収の標的にされた会社の経営陣が経営の座を譲り渡す代わりに多額の割増退職金を受け取る取り決め)」に対する拘束力を持たない投票権を与える。

ヘッジファンド: ヘッジファンドとプライベートエクイティ・ファンドにSECへの投資アドバイザーとしての登録を求める。また、規制当局によるシステミックリスクの監視に協力するべく、取引情報の提供を求める。

保険:財務省に保険業界を監督するための連邦保険局を創設する。どの保険会社をシステムに大きな影響を及ぼし得る会社として扱うべきかを同局が決定する。


---米国:上院可決、金融規制法案成立へ 自由化路線から転換---
毎日新聞 2010年7月16日 東京夕刊
http://mainichi.jp/select/biz/news/20100716dde001030006000c.html

 【ワシントン斉藤信宏】米上院本会議は15日、金融危機の再発防止に向けた金融規制改革法案を賛成60、反対39の賛成多数で可決した。米下院はすでに可決済みで、オバマ大統領の署名を経て週明けにも成立する。世界大恐慌後の1930年代以来の金融制度の抜本的な改革で、08年秋のリーマン・ショックなど大規模な金融危機を教訓にウォール街に対する規制を大幅に強化する。
 米国がこれまでの金融自由化路線から転換することで、日本を含む他の先進国の金融行政や大手金融機関の経営にも影響を与えそうだ。
 オバマ大統領は「米国民と企業に大きな安心をもたらす」との声明を発表。3月に成立した医療保険制度改革法とともに、最重要課題と位置づけた金融規制改革法案の成立を歓迎した。
 法案は約2300ページにも及び、(1)金融危機対応(2)リスク取引の制限(3)消費者保護--が3本柱。財務長官をトップに米連邦準備制度理事会(FRB)など当局が連携、金融システム全体を監視する金融安定監視評議会を政府内に新設。FRBは大手ノンバンクへの監督も強化し、金融危機防止を徹底する。また、大手金融機関が経営危機に陥った際、税金で救済せず、当局が整理、清算業務を行う新たな破綻(はたん)処理制度も整備する。
 さらに、銀行に対しては、自己資金で行うリスクの高い取引を制限、デリバティブ(金融派生商品)取引やヘッジファンドへの投資も制約する。自己資本規制では、優先株の自己資本への算入を認めず、損失吸収力の高い普通株による資本増強を求める。FRBに消費者金融保護局を新設し、住宅ローンなどに関し、悪質業者からの借り手保護を図る方針も打ち出した。規制の詳細は金融監督指針などで定める。


---米金融規制法案が成立へ…ウォール街に大転換---
2010年7月16日14時14分 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20100716-OYT1T00421.htm

 【ワシントン=岡田章裕】米上院本会議は15日、1930年代以来の抜本改革となる金融監督・規制改革法案を、60対39の賛成多数で可決した。
 オバマ米大統領が来週、署名して成立する。
 オバマ政権は、深刻な景気後退をもたらした金融危機の再発防止が不可欠と判断し、同法案を最優先課題と位置づけてきた。米国の金融制度は大幅に見直されることになり、高収益を享受していた米金融業界のあり方が変わる可能性が高い。
 オバマ大統領は15日、「米国民が米ウォール街(金融街)の失敗の尻ぬぐいをさせられることは、これで二度とない」と改革法の意義を強調した。
 改革法は、主要金融機関の監督・規制権限を米連邦準備制度理事会(FRB)に集約した上で、金融監督当局で構成する金融安定監督協議会を新設する。連鎖破綻(はたん)につながる懸念のあるリスクを早期に発見し、危機を未然に防止する監督体制を整備するのが狙いだ。金融機関が経営危機に陥っても、公的資金を使わず混乱なく破綻させる制度も整備した。消費者保護の組織をFRBの傘下に新設し、サブプライムローンなどの危機を拡大させた複雑な商品への監督も徹底する。
 一方、高い利益を求めて過度にリスクを取る経営は金融システムを揺るがす懸念があることから、元FRBの議長の名前から取った「ボルカー・ルール」と称される規制を導入し、大手銀行によるヘッジファンドや高リスク商品への投資に大幅に制約を加えた。

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