2011年1月22日土曜日

臓器移植ブーム終焉か

臓器移植ブームが終焉しそうだ。
改正臓器移植法に伴い、十分に検討しないまま、マスメディアの善意(?)と
誘導された結果、事故と死亡による家族の精神的負担は増す。
長い看病の末に死んだ家族であっても、必ずいくつかの後悔は残る。
事故死と病死では、死亡者依存への家族の負担は異なる。

臓器移植は、「死亡者の一部が、人のために生きて役立つ」と説明される
ようだが、死亡者の一部と話せるわけでもないし、面影さえない。
移植者の近況さえ真実は不明のようだ。

死んでしまったら、家族は死亡者のことを忘れるわけでない。
家族は、何かにつけ死亡者との思い出を思い出すことになる。
家族は、思い出を頼りにこれからの生活を送ることになる。
死んで燃やされる体であっても、オガクズやモミガラが入っていて
欲しくはない。

臓器移植可否は、ブームによらず、残された家族も含めて、納得できる
まで話合うしか解決する方法はないと思う。

臓器提供拒否登録大幅増


---クローズアップ2011:改正臓器移植法、施行半年 家族の心、ケアなく---
毎日新聞 2011年1月17日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/opinion/closeup/news/20110117ddm003040150000c.html

◇「助かる命殺したのでは……」 提供承諾後も悩み続け
 昨年7月に改正臓器移植法が全面施行され17日で半年がたつ。法改正で可能になった、本人の書面による意思表示がなくても家族の承諾で脳死臓器提供をするケースが計30件(16日現在)と急増。昨年の提供数全体は、それまでの最多だった13件(07、08年)をはるかに上回る32件となり、提供臓器の移植件数も大幅に増加した。しかし、提供者の家族をケアする体制整備は進んでいない。また、法改正のもう一つの柱だった15歳未満の小児からの脳死臓器提供は16日現在、実現していない。医療現場からは脳死判定や臓器提供のための準備不足を指摘する声も出ている。【藤野基文】

◇「話せる専門家を」
 「誰かに話を聞いてほしいけれど、そもそもそういうところがないんです。誰にも話せないし、どこに行ったらよいかも分からなかった」。法改正前、交通事故で大学生だった長男が脳死になり、脳死臓器提供に応じた近畿地方の両親は、何年も2人だけで苦しみを抱えてきた。
 長男は、アルバイト先からバイクで帰宅途中、交差点で車と衝突し、車の下敷きになった。救急車が到着した時には心肺停止状態。病院に駆けつけた両親は主治医から状態の説明を受け、長男の荷物を渡された。確認すると、財布の中から臓器提供意思表示カードが見つかった。その数年前、長男に頼まれ、母が家族署名欄にサインしていた。父は事故の直前、長男が「臓器は灰になったら終わり。もしもの時は提供しなくてはいけないよね」と話していたことを覚えていた。長女と次男を加えた家族4人で話し合い、「意思をかなえてあげよう」と提供を決断した。
 脳死状態と分かってから臓器摘出までの約60時間、「提供に向けてまっしぐらに走っていて、何かを考える余裕はなかった」と父は振り返る。しかし、提供後、さまざまな思いが浮かんだ。心臓が動き、体も温かい状態で臓器を提供したことに、母は「助かる命を自分たちが殺してしまったんじゃないか」と苦しみ、父は「100万分の1でも反応や意識が戻る可能性がなかったのか……」と思い悩んだ。
 さらに、事故に関してインターネットで誤った情報を流され、知人からは「臓器提供なんてしなくてもよかったのに」と非難めいた言葉をかけられた。母は不眠症になり、外出もほとんどできなくなった。母はつらさを父にぶつけた。父は自身も苦しみながら、一人で母を支えた。
 「(臓器を提供した)病院に話すのも、(臓器をあっせんする日本臓器移植ネットワークの)コーディネーターに話すのも相手が違う気がして、どうすることもできなかった」と父は話し、「この人に話せばよい、という専門家を作ってほしい」と訴えた。
 現在、家族の精神的なケアは、担当した移植ネットのコーディネーターが担うことになっているものの、四十九日近くに自宅を訪問し、半年後と1年後に移植患者の状況を伝える程度だ。ある都道府県のコーディネーターは「1年も2年も(苦しみを)引きずっている家族は多いのに、移植ネットも提供病院も臓器が提供されればそれで終わり。形式的すぎる」と指摘する。
 移植ネットは今月から、提供者家族のケアについて専門家にコーディネーターへの助言を依頼している。臓器提供では、事故など予期せぬ死別になることが多い。本人の意思が不明の場合、家族は提供について決断するため、背負う「荷」は一層重くなる。助言を依頼された精神科医の平山正実・聖学院大大学院教授は「コーディネーター向けにケアを担えるよう講習会を開いたり、相談に乗ってレベルアップを図りたい」と話す。

◇「15歳未満」0件 小児脳死判定医、育成も課題
 改正法の大きな柱の一つが、15歳未満の小児からの脳死臓器提供が可能になったことだ。改正後、提供者が現れないことについて、移植ネットの小中節子医療本部長は「改正前も可能だった心停止後の15歳未満の臓器提供も、年に7件以下だった。法律が改正されたからといって、すぐに多くの臓器提供者が出るとは考えにくい」と話す。
 さらに、「社会としての受け入れ準備が十分ではない」と指摘するのは、移植ネットから小児臓器提供に関する助言を依頼された聖隷三方原病院(静岡県)の岡田真人院長補佐だ。「日本では脳死になった患者の人工呼吸器などの生命維持装置を止める選択肢が一般的ではない。臓器提供をする場合、親に子どもの死の時期を判断させることになる。親の負担が大きすぎることも一因ではないか」と分析する。
 日本小児科学会(会長、五十嵐隆・東京大教授)は昨年12月、子どもの臓器提供と移植に関する見解を公表し、「小児医療の現場で対応準備が十分できていない」と指摘した。「小児救急体制や、家族への精神的ケアの体制ができている施設は、現在ほとんどない。小児の脳死判定ができる小児科医も限られている」と分析した。五十嵐会長は「移植を必要とする子どもがいることは事実。申し出があった時に対応できる体制が必要だ。ただし、小児科医の中でもさまざまな意見があり、慎重に議論を進めたい」と話す。
 同学会は今後、脳死判定技術を指導する講習会を計画するほか、将来、判定ができる小児科医を地域ごとに登録し、提供施設に派遣して判定に協力する体制作りも検討する。

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◆09年と10年の脳死臓器移植件数◆
移植臓器         移植件数
          09年   10年
心臓          6    23
心肺同時        1     0
肺           9    25
肝臓          7    30
膵臓(すいぞう)    0     2
膵腎同時        7    23
腎臓          7    39
         (182) (186)
小腸          1     4
………………………………………………
合計        213   293
 ※カッコ内は心停止後も含めた移植件数

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